課題名 |
里山広葉樹二次林の形成過程の解明と管理手法の開発 |
研究機関名 |
山形県森林研究研修センタ-
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研究分担 |
森林研究研修センタ-
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研究期間 |
新H17~20 |
年度 |
2005 |
摘要 |
(目的)山形市周辺の山林において、コナラ、ミズナラ、クリ等の葉が枯れ、一部の個体については枯死にまで至る症状が確認された。被害木には一様に無数のカイガラムシが付着しており、同定の結果、カツラマルカイガラムシ(以下カイガラムシ)であることが確認され、これが葉枯れの原因であることが明らかになった。今後、拡大が危惧されるカイガラムシ被害林の管理方法を検討するための基礎資料を得る目的で、被害林の林分構造と更新状況の調査を行った。(研究の要約)カイガラムシの被害を受けた林分において、被害度(健全林、移行林、被害林)別に林分構造等について調査した。更に、種子の落下状況と被害木を伐倒した後の萌芽状況の調査行い、更新の可能性を検討した。カイガラムシの被害樹種は、高木性樹種から低木性樹種まで多樹種にわたる。また、未被害樹種は、高木性針葉樹と常緑性の低木が中心である。被害移行林では、高木性樹種の被圧木や低木性樹種の枯死が多く、亜高木層、低木層が衰退する。被害林では、林冠木の枯損と樹冠の衰退により林冠が疎開した状態になる。そのため、林床に陽光が到達し、未被害樹種を中心とした低木層、草本層が発達する。これらの発達は今後、高木性樹種の更新阻害要因になると考えられる。被害林分内の高木性樹種の稚樹は、本数が少ないか、もしくはサイズが小さく更新が困難な状況である。移行林、被害林におけるコナラ・ミズナラの種子は、未成熟な段階でほぼ落下し、成熟した健全な種子に至らない。また、被害木を伐倒した後の株から発生した萌芽については、カイガラムシの再被害とウドンコ病を併発するものが多い。カイガラムシの被害林分では、前生稚樹の状況、種子の落下状況、萌芽の状況、さらに低木・草本類の発達という条件から、高木性樹種の天然更新は困難である。(今後の問題点)県内におけるカイガラムシ被害は拡大傾向にあるが、その拡大様式や脅威性など不明な点が多く、今後継続して調査していく必要がある。また、薬剤等によるカイガラムシの防除も踏まえながら被害林分管理の検討を行う必要がある。
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専門 |
植物生態
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部門 |
林業
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カテゴリ |
うどんこ病
くり
防除
薬剤
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