(7)熱帯・亜熱帯水域の生物資源の持続的利用及び水産養殖技術の開発

課題名 (7)熱帯・亜熱帯水域の生物資源の持続的利用及び水産養殖技術の開発
課題番号 2008010748
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,水産領域
協力分担関係 ラオス水生生物資源研究センター
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 標本船調査により、資源評価対象魚種であるハタ類、フエダイ類の幼魚及び成魚の漁獲データを収集した。カゴ網漁獲調査及び標識放流調査によりハタ類、フエダイ類の漁獲データや生物・生態学的データを収集した。炭素・窒素安定同位体分析や胃内容物調査により、マングローブ域の食物連鎖構造を把握するとともに、生態系モデル構築に必要なデータの収集・整理を行い、これらを基にエコパスモデルを試作した。ラオス在来テナガエビMacrobrachium yui の生活史の詳細及び生息場所の環境条件を明らかにした。M. yui の最適幼生飼育条件を明らかにし、10 mmの稚エビ養成に成功したことにより、種苗生産に目処をつけた。キノボリウオ仔稚魚期に頻発する共食いの防止方法や初期餌料となるワムシの継続培養方式の開発により、キノボリウオの種苗生産技術を確立し、そのマニュアルを作成した。ナマズ類Pangasianodon hypophthalmus の集約的種苗生産に成功するとともに、小規模養殖業者向けに身近な天然餌料を利用した低コスト養殖手法を考案した。ウシエビ養殖池の底泥分析により、海藻との混合養殖による底泥細菌相の変化やベントスの多様性の向上などの特性を明らかにした。養殖池レベルでの実証試験により、海藻・ウシエビ混合養殖が収量、売上高、コストの面で優れることを示した。卵黄形成抑制ホルモン(VIH)の探索を目的とした血糖上昇ホルモン(Mar-CHH)の機能解析や成熟に関わる種々の物質の影及びその作用機序を明らかにするため、オニテナガエビ肝膵臓培養技術を確立した。昆虫幼若ホルモン類似物質methyl farnesoste (MF)にバナメイ培養卵巣片における卵黄タンパク(Vg)遺伝子発現量の増大効果が認められ、MFが卵巣成熟促進効果を有することが示唆された。バナメイエビの浸透圧調節機構を調べ、稚エビの最適な低塩分飼育水(塩分濃度5 ppt (千分の1)、硬度1,400 ppm (百万分の1))のほか、低塩分水への最適馴致期間(5 pptの場合、1日以上が必要)を見出し、稚エビの初期育成期における減耗を改善し、商業ベースでのエビ生産に応用した。バナメイエビの生殖機構解明の一環として、眼柄由来のペプチドを詳細に解析した結果、それらの中に卵黄形成抑制活性を保持するものが存在することを明らかにした。この結果に基づき、卵黄形成抑制ホルモン(vitellogenesis-inhibiting hormone: VIH)の同定に成功し、ホルモン投与等による親エビの人為催熟技術の開発に取り組んだ。以上の他、エビプラントのデザイン改良、エビのストレス低減技術、投薬を必要としない閉鎖循環式養殖および同養殖に適している飼料の開発に関する研究成果を取りまとめ、本プロジェクトを終了した。土壌微生物群集の炭素源利用データからウシエビ集約養殖池、ウシエビ粗放養殖池、マングローブ域の土壌の評価を試みたところ、マングローブ域およびウシエビ粗放養殖池では多様性の高い微生物群集で構成されているという結果が得られた。一方、ウシエビ集約養殖池では糖分解能の高い微生物が優占する群集であり、長期の池使用により微生物相の変化が生じる可能性が高いことが示された。集約養殖池で飼育したエビに付着した細菌数および薬剤非感受性菌比率により、養殖池の履歴を評価できるかどうかを探ったところ、隣接した池で類似した微生物相であっても薬剤非感受性菌比率が大きく異なった。薬剤非感受性菌比率と疫学調査とを組み合わせることにより、池の環境評価に利用できる可能性が示された。汽水産エビ養殖業者への聞き取り調査から、タイ全土でウシエビのみならずバナメイエビにも疾病被害が出ていることが示された。地域によって疾病の発生時期および養殖方法に違いが見られた。聞き取り調査データを蓄積し分析することにより、疾病の起こりやすい環境を特定し、疾病の被害を軽減できる養殖手法を提案できる可能性が示された。
カテゴリ 亜熱帯 コスト 低コスト 評価法 薬剤

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