(2)農家所得の向上を目指した水利用の高度化による経営複合化

課題名 (2)農家所得の向上を目指した水利用の高度化による経営複合化
課題番号 2008010750
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,生産環境領域
協力分担関係 タイ農業局
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 これまでの活動を総括するためのワークショップを、プロジェクトの中心サイトであるノンセン村において開催した。ノンセン村のみならず近隣農村を含めた多くの農民、普及組織や郡組織の幹部並びにコンケン大学農学部長、地元のNGOや新聞・テレビ等のマスコミの参画を得た。ノンセン村ベースの研究の中で生まれた技術の中でハイライトとなるものを3つ(地下水の農業利用、節水野菜栽培、水利用計画ツール)を選抜し、ワークショップに参加した農民にできるだけ平易に説明し、彼等の協力のもとに生み出された技術の還元を試み、プロジェクト成果の伝播という点ではある程度の目的を果たすことができたと考えられる。農民交流によって新たに技術導入を行った農家は、より複合化し、所得が向上している。東北タイに広く分布している砂質傾斜農地では、砂質層が降水の浸透によって飽和状態になった時、表面流出が発生し、その結果ため池の水位が上昇することを土壌水分の観測値を基にした解析によって現場実証した。東北タイのBan Phai流域を例として、調査孔からの地下水位と全溶存成分量等のデータから、差分モデル(MODFLOW)を使った分布型地下水流動シミュレーションにより、持続的な地下水利用可能量を推定しマップ化した。334系統のIR64NILから120系統を選抜し、これらの系統について、IRRI内に設けた節水間断潅漑(AWD)圃場で、到穂日数により早生・中生・晩生の3グループに分けて栽培試験を行った。その結果、IR64を含む中生グループでは、IR64NILのほとんどはIR64よりも算出収量が高く、AWDに適しているとされるPSBRc80などの比較品種並みの収量を示す系統も見られた。また早生や晩生のグループの中でも、それぞれの比較品種に匹敵する系統のあることが示唆された。本プロジェクトで得られた実測データを用いた数値解析モデルの改良を開始した。既存のDNDC-Rice モデルをそのまま用いて実測結果と比較したところ、AWD水田では実測された温室効果ガス放出を正確に予測できなかった。AWD条件下の土壌水分の予測に問題があると思われ、検討を進めることとした。IR64NILを使って、少分けつ性に関わる形質の遺伝子解析を行ったところ、少分げつ性に関わる遺伝子Ltnは、SSRマーカーssr6049-23とssr6049-2の間に位置しており、その候補領域は76.7 kbpに絞ることができた。収量漸減現象が認められるエアロビック・ライス連作圃場から採取した土壌を用いたポット試験において、薬剤や熱処理によって生物的要因を排除してもイネの生育に有意な改善が見られなかったことから、収量漸減には非生物的な土壌自体に関わる何らかの要因が関与することが示された。表現型の1つである炭素安定同位体分別率(CID)の効率的分析のため、JIRCASの分析装置(炭素・窒素質量分析システム)のオートサンプラーの修繕を行い、炭素同位体の場合、これまで1日で60検体の分析が上限だったものが、1日あたり120検体の分析が可能となった。インド南部の2カ所で圃場試験を行っているが、対象のヒヨコマメは乾期作のため収量の結果と植物サンプルの調達は今年2月末以降になる。それまでは、前倒しで行っていた前々年の乾期作サンプル約200についてCIDの分析を継続した。委託元であるICRISATならびに共同研究機関であるインド農科大学(UAS)を訪問し、今季のサンプリング、次季の試験計画、日本でのトレーニングプログラム等について打ち合わせを行った。試験地におけるイネの収量および収量構成要素について、データ解析を行い、25品種を4グループに分けた。イネには穂数型と穂重型の品種があるが、試験地に適応し収量が向上するのは穂重型品種が多かった。収量に影響を及ぼす主な環境要因について、土壌肥沃度より土壌水分の方が影響していた可能性が示唆された。試験地における収量構成に最も強く寄与しているのは登熟歩合(約50%)であり、次に1穂あたり籾数(約30%)が寄与していることがわかった。
カテゴリ 管理技術 経営管理 水田 品種 薬剤 野菜栽培

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる