(1) 影響評価モデルの開発と食料供給安定化のための方策の提示

課題名 (1) 影響評価モデルの開発と食料供給安定化のための方策の提示
課題番号 2008010756
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,国際開発領域
協力分担関係 中国農業科学院
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 水供給変動を考慮したコメ需給モデルのシミュレーション結果が、農家にどのような影響を与えるのかを、ラオス(サバナケット県)の農家を対象に分析した。その結果、需給モデルの予測結果においてコメ価格が上昇傾向にあるため、肥料などの農業資材価格が一定であれば、利潤(=総収入-総費用)がゼロの農家の場合、10年間でその利潤が68万キップ(約7,600円:調査時為替レート)へと増加するものの、その標準偏差は54万キップと大きく、水供給変動が農業経営の安定性に大きな影響を与えることが確認された。衛星データと現地調査データに基づき、インドシナ地域の農業的土地利用条件を規定する地表水の分布を把握するとともに、正規植生指数および水分含有指数の2つの指標を用いることで、水田における稲の季節変化が捉えられることを明らかにした。アジアを中心とした32カ国・地域を対象に、確率モデル化した世界食料モデルを用いて、気温と降水量の変動幅が10%増加した際の生産量・価格の変動予測を分析し、例えば、2030年には大豆価格の変動係数が2.71%増加することなどを明らかにした。中国語版「黒龍江省水稲冷害早期警戒システム」を構築した。本システムを運用することによって農業災害に対する安定作期の策定など、黒龍江省の水稲の作柄について監視が可能となった。黒龍江省を対象とする水田分布算定手法を用いて、2003年から2008年の水稲作付分布図を作成し、その分布と変動状況を明らかにした。水田分布の変化の特徴は、東部の三江平原の北部に水田増加が見られ(ただし、2008年は減少)、従来の稲作地帯の南部は横ばいであった。このように面積の変動を早い時期で把握できることによって、生産規模を推計することも可能になる。黒龍江省虎林市を対象とした農家調査によると、水稲栽培の歴史が短い農家ほど冷害発生に対して収益変動リスクが高い品種を志向しており、また,実際に農家が作付する水稲品種は,栽培を希望するとした品種よりも冷害発生に対する収益変動リスクが一段高く、リスクへの対応が十分になされていない実態が明らかになった。黒龍江省のコメ需給予測結果によると、コメ生産は中長期的に増加する傾向にあり、コメ価格の上昇はそれほど大きくない。また、単収変動はコメ価格の変動幅を拡大し、移出地域として安定的に生産物を提供するリスクが増大する可能性がある。冷害等の気象変動によって、生産の変動をもたらし、純移出量の変動幅の振れも大きくなる。生産の面から農家への直接補助や農機具、生産資材への支持政策はコメ生産の安定化を図る有力な措置となる。 確率モデル化した世界食料モデルを用い、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の社会経済シナリオA2 についての気温と降水量のハドレーセンターの予測値を用い、2030年までの小麦、トウモロコシ、他粗粒穀物、コメ、大豆の生産量や価格の変動の分析を行った。その結果、温暖化の下で、飼料に多く用いられるトウモロコシと、食用油に多く用いられる大豆の生産量の変動が他の作物に比べて大きいことを明らかにし、影響が食品産業全体に及ぶことを示唆した。
カテゴリ 肥料 経営管理 水田 大豆 凍害 とうもろこし 品種

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