(1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発

課題名 (1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発
課題番号 2009014006
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 (独)農業環境技術研究所,生物多様性研究領域
協力分担関係 香川大学
東京大学
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 ア 外来生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発1)外来植物の特性解明と農業生態系のかく乱防止 西日本のミカン園などで草生管理法として使われる外来種ナギナタガヤについて、種子が多産で、農耕地や空地等で雑草化する恐れがあることを明らかにした。また、ナギナタガヤがアレロパシー活性を持つことを示し、アレロケミカルとして(-)-3-hydroxy-β-ionone と (+)-3-oxo-α-ionol を検出した。 近年、道路沿いに急速に広がり、農地への侵入もみられる外来植物のナガミヒナゲシの化学生態的特性と雑草性リスクを調べ、アレロパシー活性が強く、改良FAO 方式で評価した侵入後の雑草化リスクが大きいこと、未熟な種子からの再生が可能であり、防除には開花前の駆除が重要であることを明らかにした。 2)外来昆虫のリスク管理技術 侵略的外来昆虫の様々な防除法の効果について、昆虫の交尾探索行動を組み込んだシミュレーションモデルにより検討を行った。その結果、侵入初期の低密度条件下では、従来使われてきた理論予測より簡単に根絶できること、交尾能力や寿命の違いにより効果的な防除法が異なることなどを解明した。本成果は、侵略的外来昆虫を根絶する技術的戦略の検討につながることが期待される。 クリの侵入害虫クリタマバチを防除するために導入された外来天敵チュウゴクオナガコバチについては、近縁の土着天敵クリマモリオナガコバチとの交雑による生態影響が懸念されている。その解明のため、DNA 塩基配列の僅差を識別するアリル特異的PCR 法を用いて、侵入害虫クリタマバチの外来天敵チュウゴクオナガコバチと近縁土着天敵クリマモリオナガコバチの交雑個体を検出する方法を開発した。イ 遺伝子組換え生物の生態影響評価とリスク管理技術の開発1)生物多様性影響評価研究(野生化、交雑性研究) 遺伝子組換え作物の生物多様性への影響を評価するため、推移行列モデルを使って、野外での個体群存続性により影響を評価する方法を構築した。平成21年度は、推移行列モデルの妥当性をコムギを例に検討し、このモデルが通常のコムギ個体群の現状をおおむね反映していることを確認した。茨城県鹿島港周辺でのナタネ個体群の分布調査では、こぼれ落ち種子に由来するナタネが他の植物を駆逐して分布域を拡大する様子は見られなかった。これを検証するため、圃場でナタネと雑草の競合実験を行い、ナタネ発生個体数および繁殖個体数の増減と環境要因(他種の繁茂程度、発芽有効温度)との関係を一般化線形混合モデルを用いて解析した結果、発生個体数および繁殖個体数は、他種の繁茂程度に大きく影響を受けることが明らかとなった。2)共存研究(交雑抑制研究) 水田ほ場において、花粉親区(日本晴:ウルチ品種)と種子親区(へいせいもち:モチ系統)の間に防風植生として極晩生の飼料イネ(リーフスター:ウルチ品種)を栽培し、交雑への影響を調べたところ、防風植生の設置により交雑率が約1/3 程度に低下する可能性が示された。また、防風ネットの設置位置と交雑抑制との関係を評価するために数値実験を行ったところ、花粉親の面積が小さい場合、防風ネットを花粉親の中央に置く方が、花粉親と種子親の境界に置くより抑制効果が大きかった。これは、防風ネットの風速低減効果は風上側にも働くため、花粉親群落中央部に防風ネットを設置することによりネットの風下側ばかりでなく風上側の風速も抑えることが出来、その結果、最も効果的な交雑抑制ができたものと考えられる。
カテゴリ 病害虫 害虫 管理技術 くり 雑草 水田 土着天敵 なたね 繁殖性改善 品種 防除

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