(2)開発途上地域における技術開発方向の解明と農山漁村開発のための社会経済条件の分析

課題名 (2)開発途上地域における技術開発方向の解明と農山漁村開発のための社会経済条件の分析
課題番号 2010015021
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 (独)国際農林水産業研究センター,国際開発領域
協力分担関係 チェンマイ大学
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要 ・ インドネシア・ジャワ島での実態調査から以下のことを明らかにした。(1)水利施設の老朽化、降雨の不安定化、非農業セクターとの水需要の競合などにより稲作への水供給が不安定化している。(2)海外出稼ぎを含め非農業就業が増加し、稲作での労働力不足が生じている。(3)石油価格高騰と補助金削減により肥料・農薬の価格が高騰している。(4)コメを含めて有機農産物に対する市場は拡大している。このような条件変化に対応して、節水灌漑と身近にあるバイオマスを活用し集約的な肥培管理によって高収量を実現する有機農法が普及しつつあるが、農家によって技術内容と単収水準は大きく異なる。したがって、普及に供しうる技術を開発するためには、増収原理を解明して技術の体系化を図る必要がある。・ フィリピン・ボホール島調査における重力灌漑システム導入効果として、灌漑により肥料投入も単収も増加し、その結果、資産額(主にテレビやカラオケなど)の増加が確認された。ただし、家畜や人的資本などへの投資にはまだ至っていない。さらに灌漑導入が、(1)共同体の地理的範囲、(2)共同体内・外の人間関係をどう変化させるかを検証するために信頼ゲーム(Dictator, Trust, Donation, Public goods)を試行(灌漑18戸、天水12戸)したところ、天水地域では干ばつなどのリスクに備えて個人間のつながりを重視するが地縁的共同体は発達していない一方で、灌漑地帯では共同体に投資して生計保証をはかりながらも、地理的に離れた個人への信頼度は弱まる、との結果を得た。・ 節水灌漑技術(AWD)導入のための経済インセンティブ付与と技術研修の効果を検証するために、約80の灌漑組合を4グループ(インセンティブ有無×研修有無)に分けて、灌漑取水量の変化をトレースしている。平成20年9月~平成21年3月を0期、平成21年5~9月を1期、平成21年11月~平成22年3月を2期とし、1期目に半数の組合に経済インセンティブを付与(節水量に応じて水利費を返金)、2期目にさらにそれぞれ半数ずつに技術研修を実施した。0期と2期を比較すると、暫定値ではあるが、インセンティブ+研修グループが最も節水し(17%減)、介入無しグループはわずかに増加(3%増)、どちらか一方の介入を受けたグループはその中間(インセンティブのみは5%減、研修のみは9%減)であった。経済インセンティブは節水を促し、技術研修はその効果を高めることが確かめられた。
カテゴリ 肥料 病害虫 有機農産物 ICT 農薬 肥培管理 水管理

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる