(1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発

課題名 (1) 外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発
課題番号 2010014995
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 (独)農業環境技術研究所,生物多様性研究領域
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要 ア 外来生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発(1)外来植物の特性解明と被害予測 特定外来生物ナガエツルノゲイトウについて、千葉県印旛沼周辺の水田を対象とした3年間にわたる現地調査結果から、水田域で、前年分布範囲や用水路網の影響を受けながら分布拡散していること、田面よりも畦畔で生育量が多いことを明らかにした。この結果は、本種が用水路等を通じて拡散することや、隣接する水田から畦畔を越えて広がっていることを示唆するものであり、本種が各地の河川や湖沼で広がりつつあるなか、今後、農業水路や水田に侵入、蔓延して農業生産や周囲の生態系に影響を及ぼすことを未然に防止するための重要な知見となる。 輸入穀物に含まれている雑草種子の調査の結果、西オーストラリア産の輸入小麦に除草剤抵抗性の雑草(ボウムギ)種子が混入している事を初めて確認した。今回抵抗性が確認された除草剤は我が国では使用されていないか使用頻度が低いものであり、ボウムギが難防除雑草化する可能性は低いと考えられた。しかし、本成果は、我が国が様々な国から輸入している大量の穀物に除草剤抵抗性雑草種子が混入している可能性を示唆するものとして重要な知見である。(2)外来生物のリスク管理技術 セイタカアワダチソウが優占する耕作放棄地において、アルミニウム資材などを投入することによって土壌を酸性化・貧栄養化させ、セイタカアワダチソウを長期的に減衰させ、チガヤなど在来植物が優占する草地に誘導する技術を開発した。イ 遺伝子組換え生物の生態影響評価とリスク管理技術の開発(1)生物多様性影響評価研究(野生化、交雑性研究) 遺伝子組換えセイヨウナタネの生物多様性影響評価に資する情報を得るため、ナタネ陸揚げ港である茨城県鹿島港におけるナタネの分布と個体群の動態を調査すると共に、ほ場での他草種との競合実験を行った。その結果、セイヨウナタネが周辺群落に侵入し、拡散する傾向は観察されず、中央分離帯で突発的に個体数が増加することはあるが、群落の繁茂が進むとナタネ個体数は少なくなった。この傾向は、圃場での競合実験に基づき作成された一般化線形混合モデルによる結果と同様であった。(2)共存研究(交雑抑制研究) ダイズは自殖性の作物であり、わずかに生じる他殖も虫媒によるものと考えられているが、風媒の可能性も否定できないことから、圃場においてダイズ花粉の空中飛散量を調査した。その結果、野外ほ場での花粉の空中飛散量はきわめて少なく、風洞施設での調査においてもその飛散距離は、花粉のサイズから予測した飛散距離よりも短く、ダイズ花粉は飛散しにくいことが明らかとなった。本成果は、遺伝子組換えダイズ栽培時の非組換えダイズとの交雑防止手段の開発に寄与するものである。 花粉放出率の日変動および開花期間中の花粉の寿命を考慮して、風媒作物の花粉の拡散による交雑率分布を推定するための3次元数値モデルを開発した。このモデルを利用することにより、ほ場条件での交雑分布率の数値シミュレーションが可能となった。トウモロコシ試験区について行ったシミュレーションの結果は、花粉親からの距離に伴う交雑率の低下や、防風施設による交雑抑制効果をおおむね再現し有効性を確認できた。
カテゴリ 病害虫 管理技術 雑草 除草剤 水田 抵抗性 なたね 難防除雑草

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる