課題名 | DNAマーカーを利用したトラフグの性判別法と全雄作出法の開発 |
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課題番号 | 2010015427 |
研究機関名 |
(国)東京大学 公立大学法人福井県立大学 福井県(栽培漁業センター) |
研究期間 | 2007-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | (1)遺伝子情報を利用したトラフグの性判別法を確立するため、トラフグの性決定遺伝子座周辺領域の配列を解析して、マーカーとして利用しやすい一塩基多型 (SNP)を選定した。通常のSNPマーカーは個体差が大きいが、本中課題では、福井県で用いるすべての親魚、および、その稚魚で性判別に利用可能な汎用SNPを同定することに成功した。さらに、これらSNPの親子間における伝達パターンを調べて、雄に伝達されるアリルと雌に伝達されるアリルを同定した。(2)トラフグは価値や利用法が雌雄で異なるが、その性別を稚魚の時点で見分ける方法はなかった。遺伝子情報を利用した性判別を実用化するため、生きたトラフグ稚魚からゲノムDNAを迅速かつ安価に得る方法を開発し(小課題2)、さらに、中課題1で確立した性判別SNPを迅速かつ安価に検出する方法を開発した。現時点の設備を用いた場合、一尾あたり約150円の試薬代で、一日に約1000尾の性判定が可能となった。(3)遺伝子情報を利用した性判別を実用化するためには、性判定試験を実施している間、大量のトラフグ個体を過剰なストレスを与えない状態で個別に保持する必要がある。そのため、64の区画を一つの単位とした個別飼育システムを作製した。この個別飼育システム用いた迅速性判別法により、21年度には、7千尾のトラフグ稚魚の性判別を、22年度には1万4千尾の稚魚の性判別をおこなった。得られた稚魚は、試験的に地域の養殖業者に出荷した。(4)全雄トラフグを作出するため、まず、トラフグ稚魚を女性ホルモンで処理して飼育した後、性判別マーカーにより性転換の可能性のあるXY型魚のみを選抜して飼育を続けた。次に、これの成熟・排卵を誘起して通常のXY型雄と交配して、これまで作出困難と考えられていたトラフグYY型魚を得ることに成功した。これらYY型魚と通常のXX型雌を掛け合わせた場合、得られる子供はすべてXY型雄になる。 |
カテゴリ | 出荷調整 DNAマーカー |