摘要 |
1.土壌診断により土壌中リン酸含量が過剰であると認識している生産者の70%がリン酸減肥を行っていた。しかし、過剰であっても収量や品質の低下が不安なため、減肥を行わない生産者もあり、リン酸減肥の実証が重要と考えられた。また、化学肥料リン酸を減肥しても、堆肥由来のリン酸投入量が多いため、堆肥に含まれるリン酸についての認識を高める必要があると考えられた。 2.定植前の苗にリン酸を施用して、本圃での施用量を減らすセル内施肥法をキャベツ、ハクサイ、及び白ネギで検討した結果、可給態リン酸含量が改良目標値未満の黒ボク土壌では、キャベツ苗にリン酸をセル内施肥すると、初期生育を促進する傾向があった。 3.家畜ふん堆肥のリン酸肥料としての有用性を検討するために家畜ふん堆肥中のリン酸を測定した結果、家畜ふん堆肥に含まれるリン酸の形態は、水溶性リン酸が約20%で、水に溶けない水不溶ク溶性リン酸が約60%程度あった。 4.地力の低いマサ土では、堆肥の施用によって化学性や物理性が改善し過リン酸石灰を施用した区よりもリン酸吸収が優れ、リン酸肥効率が見かけ上100%を大きく超えた。地力の高い灰色低地土では過リン酸石灰と同等の肥効を示した。 5.土壌中の可給態リン酸含量が100mg/100g以上の黄色土では、3年間リン酸無施用でハクサイを栽培しても、リン酸施用区と比較して収量に大差なかった。
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