② 昆虫の発生分化・成長制御機構の解明

課題名 ② 昆虫の発生分化・成長制御機構の解明
課題番号 2012020459
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 篠田 徹郎
塩月 孝博
小瀧 豊美
田中 良明
市川 明生
畠山 正統
中尾 肇
神村 学
秋月 岳
大門 高明
粥川 琢巳
研究期間 -4
年度 2012
摘要 1.カイコ細胞でJH誘導性の変態抑制因子Kruppel homolog 1(Kr-h1)の転写調節機構を明らかにした。その知見に基づき、トビイロウンカのJH受容体遺伝子Methoprene tolerant(Met)とそのコファクターsteroid receptor coactivator(SRC)を恒常的に発現するショウジョウバエS2培養細胞を樹立し、JH応答配列(JHRE)につないだレポーターの活性を調査した。その結果、形質転換細胞でJH依存的な高いレポーター活性が認められ、ターゲットとする害虫のMet、SRC、およびJHREレポーターを導入すれば、S2細胞を使って狙いの害虫種に対するJHスクリーニング系がテーラーメードできることが明らかになった。
2.カメムシ目特異的なJH剤および抗JH剤の開発に必要な基礎的知見を得るために、重要害虫を含むウンカ類と同じ同翅亜目であるセミのアラタ体生産物を分析した。その結果、セミのJHは、カメムシ(異翅亜目)のJHSB3を含めてこれまでに報告されているものとは異なる新規なJHであることがわかった。
3.トビイロウンカの新規制御剤開発の標的遺伝子を探索するために、RNA-seq情報を用いて神経ペプチド遺伝子関連遺伝子を網羅的に解析し、60個の受容体遺伝子を同定した。その結果、本種はこれまで知られている昆虫の中で受容体の種類が最も多いことが明らかになった。また、脊椎動物のサイロトロピン放出ホルモン受容体や副甲状腺ホルモン受容体のホモログなど、カイコやキイロショウジョウバエにはないユニークな遺伝子が存在することから、未解明の神経ペプチドシグナルの存在が示唆された。さらに、トビイロウンカのカルボキシエステラーゼ12個、グルタチオンエストランスフェラーゼ8個、Takeout/JHBPファミリー14個の遺伝子について幼虫へのRNAiを行い、致死効果を示す遺伝子を複数見いだした。
4.トビイロウンカの殺虫剤イミダクロプリドに対する抵抗性機構を明らかにするために、23年度得られた候補原因遺伝子について、定量PCRで発現量を調べたところ、P450オキシダーゼの1種CYP6ER1遺伝子が抵抗性3系統では感受性3系統に比べて数十倍高発現していることが確認され、抵抗性の原因である事が強く示唆された。
5.新しい昆虫の制御技術を開発するために、変態阻害作用を持つ昆虫病原性糸状菌の緑きょう病菌から、強力な脱皮ホルモン不活性化能を持つ脱皮ホルモン22位酸化酵素(E22O)の遺伝子を単離した。組換えE22Oタンパク質を注射もしくはE22O遺伝子をin vivoリポフェクション法により発現させることにより、各種の昆虫で簡単に体内脱皮ホルモン濃度を下げて、胚発生、脱皮、変態、休眠などを操作できるようになった。
6.チョウ目特異的な初期発生機構を解明するために、カイコにおいて体節形成遺伝子の発現と機能の解析を行った。cadと共にカイコの後部体節形成に関わると考えられるnosP発現はcad発現減少時に増加することがわかった。nosPが前部体節形成に関わるotdを負に制御する可能性を考慮に入れると、otd、cad、nosP遺伝子のネットワークはcad変動時において下流に存在するkrの安定的な発現を維持し、頑健な体節形成に寄与する可能性が示唆された。
カテゴリ カイコ 害虫 カメムシ 抵抗性

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