課題名 | ② バイオインフォマティクス研究による農業生物ゲノム情報の高度化 |
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課題番号 | 2013023125 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
伊藤 剛 田中 剛 坂井 寛章 沼 寿隆 川原 善浩 山本 公子 安河内 祐二 末次 克行 木原 眞実 上樂 明也 |
協力分担関係 |
(独)産業技術総合研究所 西南大学(中国) 東京大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 1. 幅広い農学系研究者が利用するためのデータベース群の運用を行った。このようなデータベースを構築するためには、きわめて大量 の配列情報を短時間で処理し、コンテンツを作成する必要がある。そこで、こういった情報処理を効率よく実行できるように支援するシステムとして、大規模配列解析等を容易に行えるGalaxy/NIASを構築した。 2. イネゲノム研究の基盤となる日本晴品種の参照ゲノム配列を維持管理し、このためのゲノム情報データベースを運用した。データ有用化のため、遺伝子情報の精査と高度化を行い、加えて、機能アノテーションの一環として、大規模な遺伝子発現情報の充実等も行った。さらには、参照ゲノムのみではなく、イネ品種間の比較解析へと研究を拡張するため、大量塩基配列比較描画ブラウザも公開し、運用した。 3. オオムギの完全長cDNAに加え、新たに30万件のEST配列を公開した。これらの配列を活用し、オオムギの改良に向けたリソースとして の利用促進を図るため、オオムギ遺伝子の配列と発現の網羅的データを含む転写産物情報を提供するデータベースbex-dbを作成し、公開した。また、国際コンソーシアムにより構築されたオオムギの参照ゲノム情報と完全長cDNAを対応付け、パンコムギやタルホコムギの配列も加えて比較解析できるようにした。 4. Vigna属の重要作物であるアズキのゲノム解読を行い、5.05億塩基の配列を決定した。アズキの8組織・器官について超高速シーケン サーを利用して遺伝子発現解析を行い、得られた転写配列や近縁種の遺伝子配列情報をゲノム配列に網羅的に対応付けることにより、3.2 万個の遺伝子を予測した。 5. イネの重要害虫であるトビイロウンカにおいて、殺虫剤抵抗性が発達するメカニズム解明のため、ゲノム解析を進めた。イミダクロプリドに対する抵抗性と感受性の系統間で発現遺伝子配列データを比較し、抵抗性系統に共通する変異を約1,600か所同定した。更に抵抗性 に関連する遺伝子の候補として、抵抗性系統で特異的に、かつ共通して高発現する3種類の転写産物を特定した。 6. アブラナ科作物の難防除害虫であるコナガにおいて、ゲノム情報データベースKONAGAbaseを構築した。遺伝子候補配列セットの更新を行い、32,800の遺伝子候補配列を決定した。殺虫剤抵抗性関連の重要遺伝子3つの遺伝子ファミリーの分子系統樹を作成し、分類を明らかにした。 7. 1.1万のカイコ完全長cDNAを解析し、カイコ遺伝子数が従来の予測よりも多く、2万にも達することが明らかとなった。さらに、ESTを使った遺伝子発現解析の結果、1)組織特異的発現遺伝子はゲノム上でクラスターを形成していること、2)クラスター化の割合や生成過程は組織によって差が見られること、など、カイコのもつ特徴的なゲノム構造を明らかにした。 |
カテゴリ | あずき あぶらな 大麦 カイコ 害虫 データベース 抵抗性 品種 防除 |