② 昆虫の発生分化・成長制御機構の解明

課題名 ② 昆虫の発生分化・成長制御機構の解明
課題番号 2013023130
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 篠田 徹郎
塩月 孝博
小瀧 豊美
田中 良明
市川 明生
畠山 正統
中尾 肇
神村 学
秋月 岳
大門 高明
粥川 琢巳
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 1. トビイロウンカに対する新規な成長制御剤のスクリーニング系を開発するために、昨年度樹立したカイコ培養細胞を用いた幼若ホルモン(JH)活性物質のスクリーニング系に、リファレンスレポーターを導入し、JH活性だけでなく抗JH活性についても高い確度で測定できるように系を改良した。また、384プレートを用いたハイスループットスクリーニングの実施に向けて系の最適化を行った。
2. JHシグナリングメカニズムを詳細に解析するために、コクヌストモドキの胚由来の培養細胞Tc81を樹立した。本細胞の特徴として、JH応答性が高く、またRNAiによる遺伝子ノックダウンが容易に行える。本細胞を用いてJHによる変態抑制遺伝子Kr-h1の誘導機構がカイコとコクヌストモドキで共通であることがわかった。また本細胞はJH以外のシグナル経路の解析にも利用できるものと期待される。
3. 簡便な脱皮ホルモン濃度の測定法を開発するために、脱皮ホルモンの初期応答性遺伝子E75Aのプロモーターを用いて、脱皮ホルモン 依存的にホタル・ルシフェラーゼを発現する培養細胞株を作出した。この細胞系を用いて、カイコ体液中の脱皮ホルモン濃度を測定したところ、従来のHPLC-RIA法で測定した結果と良く一致しており、正確な定量が可能であった。また、非ステロイド骨格を持つ脱皮ホルモンのアゴニストやアンタゴニストのスクリーニングにも利用できることを確認した。
4. トビイロウンカの殺虫剤イミダクロプリドに対する抵抗性機構を明らかにするために、ベトナム抵抗性系統において、候補原因遺伝 子CYP6ER1をRNAiによりノックダウンしたところ、感受性の回復が確認され、本遺伝子の高発現が抵抗性の一因であることを示した。
5. ミトコンドリア膜輸送体を標的とする新規害虫制御剤の開発に向け、タンパク質をコードするcDNAを調製するため、タバココナジラ ミ等、17種の害虫のRNA-seqを行った。トビイロウンカ等配列情報の分かっている昆虫も合わせた中から、17種のADP/ATP輸送体タンパク質遺伝子配列を決定し、8種のものについては酵母で発現する系へ供給した。
6. ゲノム編集技術を用いたカイコの遺伝子機能解析技術を確立するため、人工ヌクレアーゼ(TALEN)を用いたノックアウトカイコ作出の実験系の最適化を図り、完全に実用レベルにのせることができた。TALENを用いて、眠性変異体Mの候補遺伝子をノックアウトした結果、予想通りにカイコの幼虫脱皮回数が4回から5回に増える個体が出現した。また、JH生合成遺伝子JHAMT、及びJH受容体Met1, Met2のノック アウトカイコを作出し、表現型解析を行った。JHAMTの変異系統からは、2眠蚕となる個体が出現した。
7. ハチ目昆虫カブラハバチでのあらたな遺伝子機能解析手段として、TALENを利用した遺伝子ノックアウトを試みた。眼で特異的にEGFP遺伝子を発現する系統を用い、EGFP遺伝子を標的にした構成を卵に注入したところ、G0個体のおよそ2/3でGFPモザイク眼となり、TALEN の効果をハチ目ではじめて示した。
カテゴリ カイコ 害虫 かぶ タバココナジラミ 抵抗性 輸送

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