② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発

課題名 ② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発
課題番号 2013023140
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 瀬筒 秀樹
中島 健一
行弘 研司
米村 真之
冨田 秀一郎
岡田 英二
河本 夏雄
内野 恵郎
立松 謙一郎
飯塚 哲也
小林 功
坪田 拓也
笠嶋 めぐみ
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 1. 外来遺伝子をカイコの全身で強く発現させることが可能な新規プロモーターの開発に成功した。産卵後5日目の胚でも強い発現が観 察され、またほとんどの組織で恒常的に発現がみられるため、組換えマーカーへの利用や、強制発現による遺伝子機能解明等への利用が期待される。
2. 遺伝子ターゲッティング法の開発において、人工ヌクレアーゼTALENの改良等によるカイコの遺伝子破壊(ノックアウト)の効率化を 進めるとともに、様々な遺伝子のノックアウトを実施した。特に、シルクタンパク質の主成分であるセリシン及びフィブロインの遺伝子ノックアウトに成功した。また、カイコのゲノムへのインテグラーゼによる部位特異的遺伝子導入に成功した。
3. アンチセンス鎖RNA発現によるセリシン及びフィブロイン遺伝子の同時発現抑制(ノックダウン)に成功し、この系統で組換えタンパ ク質を生産させた場合、生産量が1.4倍向上したばかりでなく、精製の際に絹糸腺抽出物がゲル化してしまう問題が少なくなった。また、 医薬品等の原料となる組換えタンパク質は、これまでカイコの中部絹糸腺で生産していたが、後部絹糸腺でも生産可能なことを示し、従来よりも3倍以上の生産量の増加が期待された。
4. 遺伝子組換えカイコを用いて様々な遺伝子の機能解析と利用法の開発を進めた。1例として、東京大学との共同研究によって、緑藻植物クラミドモナスの光受容タンパク質のチャネルロドプシン2を触角で発現する遺伝子組換えカイコを作ったところ、青色光の刺激によって羽ばたき、フェロモン源探索行動を示した。その神経活動の解析によって、カイコが高感度でフェロモンを受容できるしくみを解明するとともに、様々な高感度センサーとしても利用できる可能性を示した。
5. カイコを用いたバイオ医薬品生産の実現を目標とし、医薬品原料としてカイコで生産したタンパク質の評価を国立医薬品食品衛生研究所等と共同で行った。たとえば、抗体医薬品の原料となる抗体タンパク質を、遺伝子組換えカイコで生産して評価したところ、哺乳類培養細胞で生産した際にはタンパク質に付加される糖鎖のフコースが、遺伝子組換えカイコで生産した場合はほとんど付いておらず、それによって抗体依存性傷害活性(ADCC活性)が高いことが示された。
6. カイコによるバイオ医薬品の開発においては、抗原性を低くするために、組換えタンパク質に付加修飾される糖鎖の構造が、なるべくヒト型に近いことも期待されている。カイコでは、N型糖鎖にガラクトースとシアル酸が付加されないが、カイコへのガラクトース修飾酵 素の導入や、シアル酸原料の餌への混入による投与によって、組換えタンパク質にシアル酸まで付加することに初めて成功した。
7. 動物では国内で初となる、遺伝子組換えカイコの第一種使用規程の承認申請を行った。申請が承認されれば、農業生物資源研究所内の隔離飼育施設において、組換え高機能シルク系統の試験飼育を行い、生物多様性影響評価を行う予定である。現在、組換え高機能シルクの実用化のためには、まず供給不足の問題があるため、第一種使用等による大量生産によって低コスト化や製品販売を実現することが期待される。
カテゴリ カイコ 低コスト なす フェロモン

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