課題名 | 農畜産物の品質評価・保持・向上技術の開発 |
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課題番号 | 2014025611 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
野村将 杉浦実 小野崎隆 |
協力分担関係 |
横浜市立大学 山口大学 神戸大学 宮崎大学 みかど協和 デザイナーフーズ(株) 東京デリカフーズ(株) 千葉県 大分県 佐賀県 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 野菜・果樹・花の品質劣化機構の解明と品質保持技術の開発に関しては、 a) 鮮度マーカーによる評価をホウレンソウやブロッコリーに適用する条件を明らかにするとともに、旧来のぬれ新聞紙による包装が、プラスチックフィルムの折りこみ包装や密閉包装よりもホウレンソウの鮮度保持に優れていることを明らかにした。 b) ダイコン種子に過酸化水素水処理を行う青変症の簡易検定法を開発するとともに、発症したダイコンでは、アスコルビン酸含量が有意に低下していることを見出した。 c) ミニトマト等の糖度やリコペンの非破壊計測法について拡散反射・透過モードを新たに開発し、実用機では非破壊計測できなかった10g未満のトマトの糖度等を計測可能(相関係数0.97)とする方法を開発した。また、約10g以上のトマトの糖度の非破壊計測精度を改善した方法を開発した。 d) モモ等の果実の品質制御における植物ホルモンやその阻害剤等の有効性については、一般的なモモの果肉硬度維持にオーキシン生合成阻害剤が有効であることを明らかにした。また、シャインマスカットのマスカット香の主成分であるリナロール含量は10℃では保持されるが0℃では急速に減少すること、減少後10℃で1~3日保持することでリナロールが増加することを明らかにした。 e) カンキツのマイクロアレイとメタボローム解析から、遺伝子発現プロファイルが収穫直後と最も類似する条件は10℃貯蔵であること、5℃貯蔵ではポリアミンが集積しやすい遺伝子発現プロフィールになることを明らかにした。 f) 花弁の老化遺伝子の特定と花持ちが延びた形質転換体の作出については、アサガオのエチレン非依存的な老化を制御する新規遺伝子EPHEMERAL1(EPH1)を特定した。EPH1遺伝子の発現を抑制した形質転換体を作出し、しおれ始めるまでの時間を約2倍の24時間に延長できることを示した。 g) 香気成分に基づくカーネーション等の香りの多様性評価については、切り花用カーネーションの香りは、安息香酸メチルとオイゲノールを基調とした香りに大別され、これらの香りは、切り花において経日的に低下するが、品質保持剤であるSTS剤の処理はそれを抑制する可能性があることを明らかにした h) ハボタンの切り花から生じる臭気の原因物質は二硫化ジメチルであり、その主要な発生源は生け水であることを明らかにした。生け水を24時間ごとに交換する、あるいはイソチアゾリン系抗菌剤の添加により、本臭気成分の生け水からの発散量を80%以上抑制できることを示した。 i) 花がもたらすストレス軽減効果の脳内機構に関しては、精神的なストレスの後にスプレーギクの花の写真を提示すると、被験者の主観的な不快度は低減すると同時に脳領域の海馬-扁桃体の活動が抑制され、上昇していた血圧やストレスホルモン(コルチゾール)が低下することを明らかにした。 畜産物の品質関連因子の解明と品質評価技術の開発に関しては、 a) 牛乳の新たな品質関連因子を解明するため、網羅的解析によりホルスタイン種牛乳から257種のmicroRNAを同定し、その分子種組成を明らかにしてプロファイルを作成した。 b) 筋肉microRNAとその標的となる遺伝子発現の関係と選択した評価項目が、食肉サンプル間の違いを表せるか検証した結果、ウシ筋肉4部位でmicroRNAの発現を解析し、miR-196aが速筋型部位に特異的に発現することを明らかにした。 c) 筋細胞が増殖・分化・成長の各過程で発現する437種のタンパク質を同定し、筋線維形成初期過程に関与する分泌性因子等のタンパク質発現プロファイルを作成し、骨格筋肥大に関連する新たな候補因子を見出した。 d) 鼻先香、食感、口中香に関する官能評価用語について検証し、給与飼料による豚肉の官能特性の違いを表す評価用語と、いわゆる「地鶏肉らしさ」を評価する用語、及び乳用種牛肉等の牛肉の種類による違いを表す評価用語を選択した。 加工適性の解明と加工技術の開発に関しては、 a) ウンシュウミカン内皮の低温酵素剥皮は、果肉の主要な栄養成分組成(糖、有機酸、アミノ酸)が手剥きした果肉に近いまま保持されていることを明らかにした。 b) 選択した候補株を用いた発酵乳の理化学特性に関しては、熟成チーズから分離した非スターター性乳酸菌を用いたチーズについて、Texture Profile Analysis及び味覚センサーの分析値を取得して食味等への影響を明らかにした。 c) GABA生産菌と他の乳製品スターターを共培養した発酵乳では、GABA含有量だけでなくオルニチン含有量も著しく増加したほか、ペプチド類の増加も確認した。 |
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