① 遺伝子組換え作物の開発技術の高度化とその利用

課題名 ① 遺伝子組換え作物の開発技術の高度化とその利用
課題番号 2014025646
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 小沢 憲二郎
高木 英典
川勝 泰二
若佐 雄也
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 1. 日本製紙(株)及び生物研で製造したスギ花粉症治療米を臨床試験に用いるため、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)に医薬品戦略相談を申し込み、事前相談及び対面助言を通じて、スギ花粉症治療米の製造工程における治験薬GMP適用範囲についての考え方を整理した。第一種使用規程承認申請の提出先は、玄米が原料となる場合は農林水産省、原薬となる場合は厚生労働省となることを明確にした。
2. スギ花粉症治療イネの栽培に関しては、医薬品原料としての品質の担保及び遺伝子拡散防止のため、栽培管理自主基準を作成し、それに基づいて被験薬原料のスギ花粉症治療米を隔離ほ場で、対照薬原料のa123米を一般ほ場で栽培した。また脱穀後の籾摺り、出荷工程に関した治験薬GMP体制を構築した。最終剤型をPB分画(タンパク質封入体PB-Iを粗精製した成分)のカプセル製剤とし、PB分画製造に関した検討を実施後、PB分画を充填したカプセル製剤を製造した。また、24年度から26年度の3年間の栽培における玄米の品質規格データを集積し、品質の同等性に関した年度間の変動を解析した。
3. スギ花粉ペプチド含有イネに関しては臨床研究実施のための原薬を製造するために栽培を実施した。東京慈恵会医科大学における臨床研究第Ⅱ相試験に用いるためのスギ花粉ペプチド含有イネ玄米試料の調製・提供を行い、臨床研究第Ⅱ相試験を実施した。2013年度から2014年度に実施した臨床研究の解析を実施し、ヒトでの有効性を明らかにした。
4. リウマチの予防及び治療効果を有する遺伝子組換えイネを作出するため、原因タンパク質であるコラーゲンタイプII(CII)のエピトープペプチド(CII256-271)やそのアナログペプチド(APL4, APL6, APL7)を蓄積したコメを作出した。モデルマウスを用いた組換えイネ種子の経口投与試験により、APL6には治療効果が,APL7には予防効果が認められた。またGPI誘導関節炎におけるT細胞アナログペプチドとして予防や治療で有効性が示されてきたAPL-12ペプチドを高度に蓄積させるため、モノマー(1分子)からトライマー(3分子連結)化したAPL-12を各種プロラミン遺伝子のC末端に連結してイネ種子で発現させたところ、システインの少ないプロラミンではモノマーまで、システインを多く含むプロラミンではダイマー(2分子連結)やトライマーでも高度蓄積できることが示された。
5. 小胞体関連分解(ERAD)に関わるHrd3の機能を調べるため同遺伝子の発現を種子特異的に抑制し、種子中での種子タンパク質蓄積への影響を調査した。Hrd3の発現を抑制することでERストレスを誘導し、ポリユビキチン化が抑制された。またシステインに富むプロラミンの凝集が起こり、ER由来PBIの形成が阻害された。
6. 動物や酵母の先行研究から、IRE1は小胞体ストレス関連遺伝子の発現誘導に関わるだけではなく、分泌タンパク質遺伝子のmRNAを分解し、小胞体内のストレスを軽減させるシステム(Regulated IRE1-Dependent Decay,RIDD)にも関与することがわかっている。我々は、イネでは一部のPRタンパク質や種子貯蔵タンパク質遺伝子が、OsIRE1を介したRIDDシステムによるmRNA分解を受けることを明らかにした。
7. フラボノイド合成に関わる遺伝子を種子特異的に発現させて作製した、フラボノイド高蓄積米について、理化学研究所との共同研究により、メタボローム解析を行った。その結果、80を超えるフラボノイド配糖体を同定し、イネ種子がフラボノイド等の有用二次代謝産物の高生産と、それらの構造多様性の増大に有用であることを示した。
8. Paenibacillus popilliae Semadara株由来の殺虫タンパク質を過剰発現する葉緑体形質転換タバコの第一種使用等(研究目的)を行うための承認を得て、今年度、6月より隔離ほ場栽培を行った。生育特性やバイオマス、生産されたCry43Aa1タンパク質量に関するデータを得た。
カテゴリ 栽培技術 出荷調整 たばこ メタボローム解析

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