課題名 | ④ 生物素材の高度利用技術の開発 |
---|---|
課題番号 | 2014025649 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
亀田 恒典 後藤 洋子 富山 雅光 桑名 芳彦 秦 珠子 高須 陽子 小島 桂 寺本 英敏 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 1. オニグモ牽引糸タンパク質を含有したシルク(クモ糸シルク)を紡ぐカイコの実用品種化に成功した。通常シルクと比較して、生糸の引張り物性は、強度が14%、伸度が47%、タフネスが53%も向上した。クモ糸シルク100%のベストやスカーフを制作し、既存の絹加工用機械でそのまま製品化できることが示され、実用化の可能性が大きく広がった。 2. カイコのSer1遺伝子を改変し、セリンリッチな反復配列をコードする約6.5 kbの第6エクソンを欠損した変異系統が作製できた。この組換えは、セリシン水溶液の実用化に重要なゲル化抑制に役立つことがわかった。 3. 水中では瞬時にゲル化してしまうホーネットシルク(スズメバチの幼虫が産生する繭)が、なぜアンモニア水中では水溶液として安定していられるのかという問題を固体NMRによる分子構造解析によって解き明かした。βシート構造の形成阻害がゲル化抑制に効くことが示唆された。 4. アフィニティーシルクの実用化を目指すため、anti-WASPscFvを発現した組換えシルクの薄膜を形成したELISAプレートを試作した。成膜条件・検出条件の最適化によって、標的タンパク質の特異的かつ定量的な検出を可能にした。また、非特異的吸着のレベルを昨年までの半分以下に低下させて実用可能レベルまで性能を向上させた。 5. 高温・酸性の水溶液中でフィブロインは短時間でゲル化する。加水分解してフィブロインを低分子化すればゲル化が抑制できるが、低分子化処理を行っていない比較的高分子量フィブロインであっても、シクロデキストリンとアルギニンを適当量添加することによってゲル化が抑制できることを見いだした。また、この水溶液は疎水性の7-メトキシクマリンを溶解することができ、7-メトキシクマリンの経皮吸収性がフィブロインの分子量に依存し、高分子量である場合には経皮吸収性を促進することがわかった。さらに、この技術をA社に技術移転を行い、A社が試作したフィブロイン原料を使ってB社が化粧品を試作するという作業段階まで進んでいる。 6. ホーネットシルクを利用した音響機器の開発では、ライントランスに用いるシルクフィルムの製造を早期に民間企業に委ねるため、民間企業の生産規模に見合うシルクフィルムの量産ができる装置の開発に着手した。C社の協力を得ながら装置の設計を行い、試作品を作製した。 |
カテゴリ | カイコ 加工 品種 |