沿岸域生物被害予察手法開発試験

課題名 沿岸域生物被害予察手法開発試験
研究機関名 愛知県水産試験場
研究分担 漁場改善グループ
研究期間 新H26~28
年度 2014
摘要 [研究の背景・目的]、 三河湾の湾奥に残された貴重な干潟・藻場生態系にとって、最も大きな脅威となっているのは硫化水素水や貧酸素水塊の来襲である。しかしながら、その被害予測技術の進展は遅れ、実効ある対策はなされていない。このような現状を踏まえ、干潟・藻場生態系への硫化水素水、貧酸素水塊の影響を軽減するため、発生源での対策とともに、干潟・浅海域での被害回避策を提案し、具体的な諸対策効果の定量的評価を行う。加えて、大規模に変動する底層の貧酸素水・硫化水素の分布様式に対する魚介類資源の応答を全湾規模で捉え、底層の貧酸素水・硫化水素水の動態が魚介類資源に与えている影響を評価する。、[本年度の目標]、 湾奥の干潟・藻場における貧酸素・硫化水素被害回避策の検討・評価:湾奥のデッドゾーンで発生する貧酸素水・硫化水素水が周辺の干潟・藻場に湧昇する実態を捉え、干潟・藻場生態系が受ける影響を評価する。貧酸素・硫化水素に対する底生魚介類資源の応答解明:小型底びき網漁船による試験びきを全湾規模で実施し、漁場環境、とりわけ溶存酸素濃度、硫化水素濃度が漁獲物の量、種組成に与える影響を評価する。、[結果の概要]、 湾奥の干潟・藻場における貧酸素・硫化水素被害回避策の検討・評価:湾奥の干潟・藻場及び周辺水域における各層水質観測及び底層の流向流速・水質の連続観測によって得られた情報を解析した結果、9月当初の南東風の連吹に伴い、六条潟の北西の沖合底層に形成されていた貧酸素水塊水が六条潟に湧昇したことが明らかとなった。このとき、汐川干潟では海面の変色により苦潮の発生が認められた。水質観測結果の解析により、北部に隣接する大規模航路・泊地底層に滞留していた硫化水素を含む無酸素水が汐川干潟に湧昇した結果、苦潮が発生したことが明らかとなった。9月当初の六条潟における貧酸素水塊の湧昇、汐川干潟における苦潮による底生生物のへい死はほとんど認められなかった。これは無酸素水、貧酸素水の湧昇が比較的短時間で収束したためと考えられたが、湧昇の長時間の持続や反復的な発生が起こった場合は、大量へい死を引き起こす恐れがあると推察された。、 貧酸素・硫化水素に対する底生魚介類資源の応答解明:三河湾全域水底質調査の結果、6月は貧酸素水塊が渥美湾の一部に限定されていたが、7月になると湾奥部から急激に発達し、8月9月には渥美湾全域が貧酸素水塊に覆われていたことが確認された。その後、貧酸素水塊は10月に解消した。また、7-9月には無酸素水塊が確認された渥美湾の一部で硫化水素の生成も認められた。6-10月に実施した全湾における小型底びき網漁船による試験びき一斉調査の結果、貧酸素化が本格化する前の6月には底生主要魚介類は湾内に広く分布していることが明らかになった。しかし、7-9月の貧酸素水塊の発達に伴って分布域は縮小し、現存量は大きく低下した。10月になると貧酸素水塊は回復したが、現存量は若干回復した程度であった。6月にはカレイ類やクルマエビの当歳魚が湾奥部を生息場として高度に利用していたが、7月以降の貧酸素水塊の発達とともに湾奥部の生息場は消滅した。
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