課題名 | 先端技術を活用した流通・加工利用技術及び評価技術の開発 |
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課題番号 | 2015027873 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
筑波大 茨城県農業総合センター 大和産業(株) 大阪医科大学 ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株) 聖徳大学 長野県農村工業研究所 石川県農林総合研究所農業試験場 長野県工業技術総合センター 岐阜県農業技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 農産物・食品の流通・加工工程の改善や開発に関しては、 a) イチゴについては、果実の相対的な動きを制限する包装容器(例えば、特殊包装:つり下げ型緩衝材)を用いることで、果実損傷 を低減できることを定量的に明らかにした。また、ブドウ(シャインマスカット)果実輸送中の脱粒を生じさせる衝撃の特性を明らかにするとともに、脱粒を効果的に防止することのできる包装容器を考案した。 b) 個人携行輸出のためのリンゴの包装容器を開発した。リンゴが底付きしないサイズのパルプモールドに二酸化炭素吸着剤を同封し 、厚さ40 ?mポリエチレンフィルムでリンゴを脱気包装すると、輸送中のリンゴの回転や損傷発生がなくなり、貯蔵性も良好となった 。 c) 青果物の輸送中における振動・衝撃などの輸送環境解析及び損傷評価の事例を集約し、平成27年度中に、ウェブサイトで公開する こととした。 d) 被災地における新規技術を用いた水産加工製品として、サンマ、イワシ、サバなどのファストフィッシュを試作し、石巻において 宮城県内の水産加工事業者向けの公開試食会を実施した。また、アカモクの機能性成分を魚油により抽出し、練り物試作用の原料として配付した。また、仙台伝統野菜であるチヂミユキナを原料として、露点制御乾燥により原料の風味を保持した野菜チップの調製が可能であることを確認した。 e) 中高圧処理を導入した果実類の加工食品の製造技術を開発し、これまで加工用としての用途が極めて限定的であったカキのシロッ プ漬を、糖度も単価も高い岐阜県特産ベビーパーシモンを利用して試作した。5℃及び25℃での保存実験を実施したところ、他の果実 シロップ漬と同様に良好な保存性を示した。また、消費者のアンケート調査を行ったところ、極めて高い評価を得た。 f) 機械加工技術を用いることにより、マイクロチャネル乳化に利用可能な金属製非対称貫通型マイクロチャネルアレイを形成した。 金属製の非対称マイクロチャネル乳化デバイスは操作性に優れるため、本技術を用いることにより、均一サイズの液滴の製造効率が向上する。 先端技術を活用した新規評価手法や新規素材化技術の開発に関しては、 a) ジャガイモそうか病汚染圃場及び健全圃場で栽培したジャガイモの複葉抽出物をNMRによるメタボローム解析で比較すると、汚染圃場でクエン酸とギ酸の量比が顕著に低いことを明らかにし、2種の有機酸の量比から地下塊茎の品質を予測する手法として提案した。 b) 近赤外分光分析(NIR)による低侵襲GI推定については、血糖値と連動する最適波長の存在が明らかになり、採血回数を減らしても十分なGI値の推定が可能であることが判明した。また、NIRと可視画像の相関から、リンゴの褐変予測の可能性が示唆された。 c) 樹上完熟マンゴー果実を対象とし、これを鹿児島県奄美市から茨城県つくば市まで陸路(トラック及び鉄道)及び海路(フェリー )で輸送した際における衝撃発生状況を解析した結果、衝撃の累積が主として輸送の中継地点において起こることが明らかとなった。また、モデル式より損傷発生予測を可能とした。 d) 平成26年度までに検討したウェスタンブロット法を用いることにより、米ぬか、玄米、及び精白米に含まれる米アレルゲンの検出 を行った結果、Glyoxalase I、52kDaグロブリン、RAG2、19kDaグロブリン等の各アレルゲンの分布を明らかにした。 e) ゲノム情報が既に解読されているモデル植物であるシロイヌナズナを材料として、これまでに開発した染色体ナノ断片作製法と極 微量DNA増幅法に基づき、回収染色体ナノ断片に含まれるシングルコピーレベルの微量DNA増幅を目指した検討の結果、増幅技術の確立へ向けて必要な種々の条件を明らかにした。 f) 生体由来のDNAと類似の構造をもつDNAヘテロポリマーと、ヌクレオチド誘導体の五成分によるナノ構造体形成条件を検討し、ナノ ファイバーの製造方法を確立した。このナノファイバーは従来のヌクレオチド誘導体とDNAホモポリマーの二成分により得られるファ イバーと類似の構造を有することがわかった。本研究により機能性分子と生体由来DNAの複合体化によるナノ材料製造のための基礎技 術を確立した。 g) 野菜ジュースの殺菌や酵素失活のために交流高電界技術を用いると極短時間で高い殺菌効果が得られ、加熱による品質劣化も抑制 されることを明らかにした。また、開発した交流中電界技術による味噌の連続酵素失活処理が可能となり、高品質の出汁入り味噌が製造できることも明らかにした。 h) ブロッコリー花蕾を50℃インキュベーターで2時間処理した後、15℃で貯蔵すると無処理に比べて黄化の進行が抑制される現象について、ヒートショックタンパク及び鮮度マーカー遺伝子の経時的発現を調べたところ、鮮度マーカー遺伝子の発現は、黄化の進行と密接な関係があるものと推察された。 i) ナノギャップ法を用いて、サブミクロンエマルション粒子の観察及び液滴サイズ計測を試みた。あらかじめ連続相で満たされたナ ノギャップ(高さ250nm)の中にエマルション粒子を封入することにより、平均液滴径が900nm台のサブミクロン液滴の直接観察が可能であることを示した。 j) モミロマン、ミズホチカラの米ゲルを、それぞれ2倍加水、3倍加水、及び炊飯直後撹拌と冷却撹拌により作成し、断面スライス画 像の3次元解析及び動的粘弾性の測定結果から、気泡の数、気泡の物性が米ゲルの粘弾性に影響していることを明かにした。 k) 1箱4パック入りのいちご箱を厚さ40?mのポリエチレン袋に入れて10℃条件下で貯蔵試験を行った。二酸化炭素吸収剤とともに窒素 充填(窒素充填時 O2 13.4%、CO2 0%)し、バックシーリングを施すことにより、MA効果が確認でき、貯蔵性が高くなった。 l) 嗜好性の予測技術開発では、モモの果実硬度、糖度を指標として海外での嗜好性調査結果との相関を検討した。 m) 食用油の酸化をラジカル量から評価するスピントラップ法について、水、食用油、スピントラップ剤(CYPMPO、PBN)、シクロデキストリンの混合溶液を、ESRスピントラップ法に則り光照射して計測することで、食用油に由来する過酸化ラジカル(・OOR、・OR)由来の信号が観測可能であることを確認した。 n) 山椒様の痺れ感を呈し塩味を強める作用があることが知られているオランダセンニチの主成分スピラントールに、ある種のアミノ 酸を適量加えることにより塩味増強効果が顕著に強まることを明らかにした、この効果を活用することにより、50%近くの減塩が期待できる。 |
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