⑤ 生体分子の構造・機能に関わる情報基盤の整備

課題名 ⑤ 生体分子の構造・機能に関わる情報基盤の整備
課題番号 2015027895
研究機関名 農業生物資源研究所
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 1.抗トマトモザイクウイルス(ToMV)薬剤の高活性化に向けて、ToMV複製タンパク質のヘリカーゼドメイン(ToMV-Hel)を 標的として19F-NMRによるフラグメントスクリーニングを実施し、得られた16ヒット化合物の構造情報を利用して改良型薬剤をデザイ ンした。また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)増殖に必須のFtsZタンパク質に対して19F-NMRフラグメントスクリーニングを実 施し、GDP結合部位を標的とする複数の阻害剤候補化合物を取得した。
2.新規昆虫成長制御剤の開発に向け、カイコ由来幼若ホルモン輸送タンパク質JHBPのリガンド結合をモニターするJH-FRETセンサー を作成した。本センサーを利用したハイスループットスクリーニングにより、分子骨格構造の異なる17グループ、63ヒット化合物を取得した。各グループから代表1化合物を選抜してカイコ塗布実験を実施し、12種類の有望なシード化合物を取得した。
3.農耕地で問題となっている窒素養分の流出や温室効果ガスN2O発生の解消に向け、その原因となるアンモニア酸化細菌(AOB)の生育に必須のヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO)の結晶構造解析を行い、反応機構を解明した。また、新規な高感度蛍光HAO活性測定法を開発するとともにin silicoスクリーニングを実施し、生菌に対しても市販の硝化抑制剤に匹敵する化合物を含む23種類の新規HAO阻害型硝化抑制剤のシード化合物を取得した。
4.健康食品やナノ材料など新しい糖質材料として期待されるイソマルトメガロ糖の効率的生産法を確立するため、糖分解酵素ファミリー66に属する3つの同族酵素、Bacillus circulans由来の環状化酵素(BcCIase)、Streptococcus mutans由来と好熱菌Thermoanaerobacter peudothanolicus由来の分解酵素(SmDEXとTpDEX)の詳細な立体構造比較を行い、酵素の安定化因子を見出した。反応至適温度の高いTpDEXの安定化因子は、(1)他の酵素の分子表面に存在する柔軟なループ構造の欠落によるエントロピーの低下と(2)分子表面の荷電 アミノ酸の増加(7~8%)と連動したイオン結合数の増加であることが分かった。この2つの因子に留意して構造改変することで、至適 温度が向上した高機能化BcCITase及びSmDEXの作出が可能となる。
5.ヒトの感染症診断に利用され始めた質量分析に基づくMALDI-biotyping法を植物病原菌や微小害虫の迅速な同定診断へ応用するた めの技術開発を行った。細菌及び糸状菌については、トマト病原菌を中心に当研究所ジーンバンクの遺伝資源を用いてデータベースの構築を進めた。また、タバコモザイクウイルスのコートタンパク質の検出、ウイルス等のキャリアであるダニなどの農業害虫についても本手法を適用し、種特異的なスペクトルを観測することができた。これらにより、MALDI-biotyping法を利用すると、植物病原菌、 ウイルス、微小農業害虫の判別が、約10分程度で可能となることが示された。
カテゴリ 遺伝資源 カイコ 害虫 データベース トマト 微小害虫 薬剤 輸送

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