① 植物病原微生物の感染機構の解明と利用技術の開発

課題名 ① 植物病原微生物の感染機構の解明と利用技術の開発
課題番号 2015027900
研究機関名 農業生物資源研究所
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 1.アミノ酸であるL-ヒスチジンを植物に投与すると、難防除土壌病害である青枯病に対する抵抗性が誘導される。ヒス チジンによる青枯病抵抗性誘導の分子機構を解明すべく、ヒスチジンの下流で機能する植物因子の同定をマイクロアレイ解析等により試みた。ヒスチジン処理により発現が上昇する遺伝子群のうち、特に強い発現上昇が見られた遺伝子は植物ホルモンであるエチレンの生合成や受容などに関わる遺伝子であった。発現誘導と相関して、ヒスチジン処理によるエチレンの放出の高まりが認められた。エチレンのシグナル伝達に関わるEIN3の機能を喪失した植物変異株では、野生型でみられるヒスチジンによる青枯病抵抗性の誘導が起きなかった。これらの結果から、ヒスチジンによって誘導される青枯病抵抗性にはEIN3に依存的なエチレンシグナルが関与することが示唆された。
2.バイオコントロール細菌Pseudomonas protegens CHA0株は、二成分制御系GacS/GacAを介したシグナル伝達系の制御のもと、植物 保護能力に関わる抗菌性二次代謝産物を産生する。植物保護能力の向上に向け、当該シグナル伝達系の下流因子を、CHA0株及びそのGacA欠損変異株(?gacA)を対象としたメタボローム解析により探索した。菌体内における蓄積量に顕著な差の見られた物質のうち、一 次代謝産物Aについては?gacAにおける蓄積量が高まっていた。本物質の異化に関わる酵素遺伝子の解析を進めたところ、当該遺伝子の欠損変異株では物質Aの蓄積量が高まること、また、当該遺伝子のプロモーター活性は?gacAにおいて亢進することから、物質Aの異化 には、GacS/GacAを介したシグナル伝達系が正に関与していることが示唆された。
3.トマト黄化えそウイルス(TSWV)はアザミウマによって媒介され、世界の年間被害額が10億米ドルを超えると推計される重要病原体であるが、遺伝子操作実験ができないために研究が著しく遅れていた。そこで、TSWVの遺伝子操作実験系の確立を目指して研究を進めた。出芽酵母を用いてTSWVのRNAポリメラーゼ、ヌクレオキャプシドタンパク質、及び3分節からなるTSWVゲノムのうちの1分節(S RNA)を同時に発現させたところ、S RNAの相補鎖が検出された。RNAポリメラーゼの活性中心変異体を発現させたときには相補鎖RNAは 検出されなかったことなどから、TSWV RNAポリメラーゼによるS RNAの複製が起きたと考えられた。cDNAよりTSWV RNAの複製を誘導す るこの実験系を利用することにより、S RNAに変異を導入し、複製への影響を調べることなどが可能になった。
カテゴリ 青枯れ病 抵抗性 防除 メタボローム解析

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