課題名 | 転炉スラグを用いたpH矯正によるホウレンソウ萎凋病の被害軽減対策とリスク評価 |
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研究機関名 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構農業研究本部 道南農業試験場 |
研究分担 |
研究部生産環境グループ |
研究期間 | 完H29~R1 |
年度 | 2019 |
摘要 | 〇目的:土壌消毒に頼らないホウレンソウ萎凋病対策として、道内産転炉スラグを用いたpH矯正による被害軽減効果およびその持続効果を確認するとともに、転炉スラグ施用に伴うリスクの有無を明らかにする。 〇内容:ホウレンソウ萎凋病発生ハウスに道内産転炉スラグを施用してpHが7.5程度になるように矯正し、北海道における萎凋病の被害軽減効果を調査する。また、一度pH矯正したハウスに年4作ほうれんそうを作付けし続け、萎凋病被害軽減効果の持続性を検討するとともに、土壌化学性やほうれんそうの生育、収量および他の病害虫の発生状況を調査し、転炉スラグ施用に伴うリスクの有無を評価する。 〇成果: 1)土壌pH7.5を目標に道内産転炉スラグを春施用(15cm深で1~6t/10a)すると、1年目は目標pHに達しないが、萎凋病に対し被害軽減効果(発病度無施用区比40%以下)が認められた。2年目に目標pHに達し、以降栽培が進むとpHは低下するが、効果は施用後2年間持続した(図1)。被害軽減効果が低下した3年目に転炉スラグを追加施用すると、pHが上昇するとともに効果は向上した。2)転炉スラグを施用しても、土壌中のフザリウム菌に対する殺菌効果は無かった。 3)被害軽減効果が得られるのは、栽培中の土壌pHが7.0以上、施用前の萎凋病の発病度が70未満であり、発病度70未満ハウスに施用した場合の発病度は25未満であった。これらを逸脱する場合、4)転炉スラグを施用してもほうれんそうの生育や収量に悪い影響はなく、萎凋病が多発する場合には、転炉スラグ施用により被害が軽減され、大きく増収した。5)転炉スラグ施用後の土壌化学性変化は、①含有成分による有効態リン酸、交換性石灰、熱水可溶性ホウ素の増加と石灰・苦土比の上昇、②pH上昇に伴う易還元性マンガンの減少であった。6)作物の養分含有率変化は、リン酸、石灰の上昇と苦土、マンガン、亜鉛の低下であった。7)他の土壌病害虫に対しては、転炉スラグ施用による被害軽減効果や助長効果は無かった。 |
カテゴリ | 害虫 土壌消毒 ほうれんそう |