課題名 | フィターゼ添加低タンパク質飼料給与による採卵鶏における環境負荷技術の開発 |
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研究機関名 |
茨城県畜産センター |
研究分担 |
畜産センター |
研究期間 | 継(29~32) |
年度 | 2019 |
摘要 | [背景・目的] 本県の畜産農家戸数は減少する一方で,畜産施設と居住地との混住化や畜産施設の規模拡大化が進行する中,苦情発生件数は減少しておらず,特に悪臭関連は依然として高い状況にある。また,採卵鶏では一般的に養分要求量よりも高く設定された飼料を給与する事が多く,余剰となった窒素やリンは体外へ排出される。これらを多く含んだ排せつ物から生産した堆肥を農地へ施肥すると水質汚染に繋がる危険性があることから,全国的に飼養羽数の多い本県の採卵鶏においても,排せつ物由来の窒素・リン低減対策及び悪臭低減対策が求められている。 採卵鶏のフィターゼ添加低タンパク質飼料は,排せつ物中の窒素及びリンの低減が確認されており,環境負荷低減技術として有効である。しかし,堆肥化過程での臭気発生への影響や,肥料成分については確認されていない。 本研究では,採卵鶏へフィターゼ添加低タンパク質飼料を給与し,排せつ物中の窒素及びリンの低減効果について検証する。そして,堆肥化過程から発生する臭気物質を測定し,低タンパク質飼料による臭気発生への影響を明らかにする。また,生産された堆肥の肥料成分の効果を解明する。 [方法] タンパク質水準の異なる飼料を採卵鶏へ給与し,排せつされたふんを週1回程度採取し,窒素を調査することにより,低タンパク質飼料給与による窒素の低減効果について検証した。採取した鶏ふんは約300kgを水分調整し,センター内チャンバーで堆肥化した。堆肥化で発生する臭気物質をガスクロマトグラフィ及びマルチガスモニタにより測定し,低タンパク質飼料と臭気の関係性及び臭気発生への影響を調査した。 [成果・評価] 低CP飼料を採卵前期採卵鶏に給与した結果,飼料摂取量及び排糞量に有意な差は認められなかった。しかし,N排出量は低CP飼料を給与することで有意な低下が認められた。悪臭防止法に掲げられる規制物質のうち,鶏糞堆肥から発生する臭気物質は主にNH3であることが示唆された。鶏糞堆肥からのNH3の発生量は,飼料中CPを2ポイント低下させることで30%以上の発生抑制を示した。本試験で作成した採卵鶏糞堆肥は一般的な採卵鶏糞堆肥と同等の品質であり,植害等もないことが示唆された。 |
カテゴリ | 環境負荷低減 規模拡大 施肥 鶏 |