課題名 | (ウ)生物多様性の保全等に配慮した森林管理技術の開発 |
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研究機関名 |
国立研究開発法人森林研究・整備機構 研究ディレクター |
研究期間 | 2016-2020 |
年度 | 2020 |
摘要 | 生物多様性保全等の森林の多面的機能の評価及び管理技術の開発に関して、全国レベルで陸域生態系の供給・調整サービスの定量化を行い、地域によってサービス間の関係性が異なることを明らかにした。開発したモデルを用いて、人口変化・土地利用変化・気候変動のシナリオに基づいて木材供給サービスの変化を予測した結果、将来、木材供給サービスのポテンシャルは減少するものの需要を上回ると予測された。また、国際的な生物多様性保全を目指し、ジオロケーター(小型照度計)を用いて、ノビタキとキビタキの渡りルートを解明し、東アジアにおける鳥の渡りルートの全貌を世界で初めて明らかにするとともに、日本国内の森林性鳥類の保全に東南アジアの熱帯林の保全が重要であることを示した。 環境低負荷型の総合防除技術の高度化に関して、過去のニホンジカ分布データ及び分布最前線データ、過去及び将来の気象データ、森林面積、標高、道路面積、人口等の将来予測値等から、ニホンジカの生息分布確率を推算した。その結果、2050年には北海道・島嶼を除く日本全域に分布を拡大すると予測された。また、都市近郊の森林でイノシシ成獣個体を効率的に捕獲するためには、土壌が柔らかい地点に箱わなを配置し、5~8月は幼獣の体サイズが小さく、わなの格子から逃れてしまうために、5~8月以外の季節に捕獲を強化する必要があることを明らかにした。札幌近郊におけるエゾシカは、12~2月には南へ約25㎞移動して越冬し、4月上旬に札幌近郊に戻ってくることを明らかにし、わなによる捕獲は非積雪期に行う必要があることを明らかにした。社会科学的な分析の結果、都市域における獣害対策関係者間のネットワークが、農業被害に加えて人的被害に対する危機意識をもつ者と、農業被害に対する意識が主である者に分断されていることを明らかにし、関係者間で認識を共有する必要があることを示した。 |
カテゴリ | 管理技術 シカ 総合防除技術 |