2 食の安全・安心の確保に関する技術開発 (1) 二枚貝等の貝毒に関する研究

課題名 2 食の安全・安心の確保に関する技術開発 (1) 二枚貝等の貝毒に関する研究
研究機関名 岩手県水産技術センター
研究分担 漁場保全部
研究期間 継H26~R5
年度 2020
摘要 目的:麻痺性貝毒で毒化した介類の毒量減衰時期予測により計画生産を支援すると共に、麻痺性貝毒の毒量減衰に効果のある二枚貝用飼料を探索し、低毒化技術の開発を行う。また、貝毒プランクトン等のモニタリングにより貝毒発生予測を行う。
計画:①麻痺性貝毒で毒化した介類(マガキ、マボヤ及びエゾイシカゲガイ)の毒量減衰率等の作成、②麻痺性貝毒に対して毒量減衰効果のある飼料の給餌飼育による介類(ホタテガイ及びマガキ)の低毒化、③貝毒モニタリング調査等による調査データの蓄積
期待される成果:①毒の抜けにくい介類から抜けやすい介類への養殖対象種の見直しによる生産所得の安定、②早期出荷再開による生産所得の安定、③毒化予測精度の向上による中毒の未然防止 
成果:
①麻痺性貝毒で毒化した介類(マガキ、マボヤ及びエゾイシカゲガイ)の毒量減衰率等の作成:介類の毒量減衰率(ホタテガイ:1.96%/日、マガキ:4.92%/日、マボヤ:4.52%/日、ムラサキイガイ3.11%/日、エゾイシカゲガイ6.81%/日)を算出した。
②麻痺性貝毒に対して毒量減衰効果のある飼料の給餌飼育による介類(ホタテガイ及びマガキ)の低毒化:ホタテガイの毒蓄積における個体差及びホタテガイが飼育海水中に放出する毒量を考慮に入れたSekiguchi et al. (2001)の方法に従い、有毒プランクトンの摂餌による個体別のホタテガイの麻痺性貝毒蓄積を行った後にフェザーミール給餌及び無給餌による低毒化現象を確認した。その結果、毒化ホタテガイに対しては、フェザーミール給餌区は無給餌区に比べ毒量の減少に差異は認められなかったものの、本県沿岸でホタテガイに蓄積されている主な毒成分である11α-sulfo型が除去されつつ、11位還元型が有意に増加した。一方、毒量の収支をみると、フェザーミール給餌区では、毒量の5割が実験系から消失する現象が観察され、ホタテガイにおける代謝機構の複雑さがフェザーミール給餌区においても発生する現象を初めて確認した。低毒化技術開発は、課題達成までには長期間必要であることから新たに「底生生物を活用した貝毒原因プランクトンのシスト発芽抑制」に変更し、引き続き実施する。
③貝毒モニタリング調査等による調査データの蓄積:柱状採水器で採水した海水中の麻痺性貝毒原因プランクトンの細胞数及び水温から毒化予測を行うための警戒密度設定の予測式を作成した(Y=-56.159X+755.07, Y:比毒性換算値(μMU/細胞),X:水温)。
残された課題:
①予定していた貝類の減衰率を算出したことから令和2年度で終了。
②貝類の毒量低毒化技術開発に関する知見が不足していることから、北里大学及び岩手県環境保健研究センターの基礎研究支援を行う必要がある。国立研究開発法人水産研究・教育機構で進められているゴカイ等の底生生物を活用した貝毒原因プランクトンのシスト(種)の発芽抑制研究の情報収集及び本県で同様の研究が可能か予備試験を実施する必要がある。
③得られた予測式について現場検証する必要がある。
カテゴリ シカ 出荷調整 モニタリング

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