イチゴの天敵利用栽培における微小害虫防除体系の確立

課題名 イチゴの天敵利用栽培における微小害虫防除体系の確立
研究機関名 岡山県農林水産総合センター  農業研究所
研究分担 病虫研究室
研究期間 新H31~R03
年度 2020
摘要 目的:県内のイチゴ産地では難防除な微小害虫であるナミハダニやヒラズハナアザミウマ(以下、アザミウマ)を対象に天敵利用技術が普及しつつある。このうち、ナミハダニでは、天敵放飼時の害虫密度が高いために失敗する事例が多く、さらに、薬剤感受性の低下による防除効果の低減が疑われており、親株床や苗床での防除対策を強化する必要がある。また、アザミウマに対する殺虫剤は天敵や花粉媒介昆虫に対して影響が大きいため、使用が敬遠され、結果としてアザミウマが増えて被害が発生している。そこで、ハウス外からのアザミウマの飛び込みを物理的に防止する防虫ネットや天敵と併用可能な薬剤を組み合わせて、防除効果の安定した微小害虫防除体系を確立する。
成果:
1.ナミハダニ防除技術の確立
ハダニ類の天敵であるミヤコカブリダニ(以下、ミヤコ)を放飼した土耕栽培のイチゴ圃場において、本天敵及び微小害虫の生息域を調査したところ、イチゴのクラウンでは調査したほとんどの株でカブリダニ類又はトゲダニ類の一種とアザミウマ類が確認された。また、ハウスサイドを常時閉じている1月にヒラズハナアザミウマ成虫がクラウンで確認された。
2)ヒラズハナアザミウマ防除技術の確立
土耕栽培イチゴ圃場において、リモニカスカブリダニ(以下、リモニカ)を放飼し、本天敵及び微小害虫の生息域を調査したところ結果、リモニカはイチゴ株上で1月と5月に確認されたが、3~4月には確認されなかった。一方、害虫アザミウマ類は4月以降、増加傾向にあり、主な加害部位である果実に次いでクラウンで多く認められた。同様にアカメガシワクダアザミウマ(以下、アカメ)を放飼し、本天敵及び微小害虫の生息域を調査したところ、本天敵は調査期間を通じてイチゴ株上で確認され、果実、次いでクラウンで多く認められた。一方、害虫アザミウマ類は果実で最も多く、クラウンでは比較的少なかった。また、クラウンにブラインシュリンプ卵を撒くことで天敵温存の強化を図る技術を検討したところ、ブラインシュリンプ無散布と比較して、クラウンで確認されたアカメ個体数が多かった。
3)天敵温存植物の検討(カブリダニ類)
ハウス内にスイートアリッサムを定植し、ミヤコとリモニカをそれぞれ放飼し、各天敵の維持、増殖効果を確認したところ、リモニカでスイートアリッサムによる維持、増殖効果が認められ、ミヤコでは効果が認められなかった。
カテゴリ いちご 害虫 栽培技術 天敵利用 微小害虫 ヒラズハナアザミウマ 防除 薬剤

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