課題名 | 津波被災復旧農地における土づくり促進及び施肥技術の確立による露地野菜生産安定化 |
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研究機関名 |
宮城県農業・園芸総合研究所 |
研究分担 |
園芸環境部 |
研究期間 | 完H29~R3 |
年度 | 2021 |
摘要 | 目的: 復旧農地における主要な露地野菜の生産安定化に有効と考えられる有機質資材や土づくり資材等について,改善効果や投入コスト等の観点から各種資材の特徴を整理し,最も効率の良い資材活用方法を検討する。併せて,土壌環境の悪影響を受けにくく,施肥量削減も期待できる施肥方法を確立し,復旧農地での生産安定化に資する。 得られた成果: ①各種有機質資材の土壌物理性に対する効果を比較したところ,粗孔隙率や仮比重,保水性などの改善効果は炭素供給量が多くなる資材ほど高く,供試資材の中ではバーク堆肥が最も改善効率が優れていた。しかし,砂質土壌では粘土質土壌に比べて有機質資材による改善効果が劣るため,各種土壌改良資材の併用による改善効果の上乗せを検討したが,いずれも明確な効果が認められなかった。 ②平成31年度の排水不良条件を想定したネギのポット試験において,酸素供給材(過酸化カルシウム資材)による若干の生育改善効果が見られたことから,令和2年から3年にかけて,所内および現地ほ場3か所でほ場試験を行った。しかし,いずれの調査ほ場においても酸素供給材による有意な増収効果は認められず,酸素供給材施用の有効性については確認できなかった。 ③粘土質土壌が客土された排水不良の復旧農地において,本暗きょ設置ともみがら補助暗きょ施工が排水改良に有効であることを確認した。 ④南三陸町復旧農地における秋冬どり作型のネギほ場において,肥効調節型肥料の局所(植え溝)施肥による改善効果を検討したところ,対照区(慣行的な追肥体系)を111~146%上回る可販収量が確保できた。また,これまで南三陸町で使用してきた肥効調節型肥料(エコロング250)に加えて,他の肥料種(ベストマッチ843,ネギ専用BB S222)でも同様の効果が期待できることを確認した。 ⑤春どり作型(7月下旬定植,5月上旬収穫)および初夏どり作型(11月下旬定植,6月下旬収穫)についても肥効調節型肥料の効果を検討したが,湿害が発生しやすい生育初期が多雨期間に当たらないため,慣行的な追肥体系との明確な収量差は生じなかった。 ⑥原料の異なる堆肥を多量施用したネギ栽培試験の結果,堆肥由来の炭素施用量が多いほど土壌理化学性の改善効果が大きいことを確認した。一方,多量施用によるネギ生育への悪影響や,土壌へのリン酸,カリなど肥料成分の蓄積を考慮し,堆肥の種類は牛ふん主体堆肥が適当であり,施用量は10t/10aを上限とするのが望ましいと考えられた。 |
カテゴリ | 土づくり 肥料 コスト 栽培技術 湿害 施肥 土壌改良 土壌環境 ねぎ |