摘要 |
圃場においてムクナ、キマメ等のマメ科作物の雑草制圧力を調査した。さらに他感作用の評価のため、生育中の葉を浸漬した水の電気伝導度、pHを測定し、葉からの溶出の量を測定した。また浸漬した水を用いて発芽試験を実施し、メヒシバ及び他感作用実験の指標植物として使われるレタスの発芽・幼根伸長に対する効果を調査した。研究の結果、キマメは他感物質の存在が明らかにされている(沖縄支所、平成3年)が、圃場試験の結果では雑草の制圧はほとんど期待できなかった。草型や地上部風乾重の面から雑草を制圧するには不充分であり、他感物質の効果を評価するには至らなかった。このことは、わい性のムクナ品種アナンMucuna pruriens(ana)の場合も同様であり、マメ科作物でこれまで明らかにされた他感物質の作用レベルでは、それだけで雑草の制圧を期待するのは難しいと考えられた。そこで、熱帯・亜熱帯のマメ科作物を広く対象とし、他感作用を評価した。水抽出液の電気伝導度及び葉の付着水量は、タチナタマメCanavalia ensiformisとフジマメDolichoslablabが高い値を示した。これらの成果は、今後熱帯地方における雑草の生物防除に役立つことが期待される。
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