摘要 |
暖地型の牧草・芝草類におけるエンドファイト(植物内生菌)感染植物の探索を行い,感染植物の食葉性昆虫に対する摂食阻害作用の検討を行った。さらに,石垣島におけるエンドファイトの糸状菌の一種Ephelis sp.の感染地の特徴および本菌と植物との関係を明らかにした。石垣島ではイネ科の15草種において本菌の感染が確認された。アワヨトウ幼虫はパンゴラグラスの本菌が感染していない葉を,マダラバッタ成虫はパンゴラグラスおよびジャイアントスターグラスの本菌が感染していない葉をより好んで摂食した。マダラバッタ成虫を本菌が感染したパンゴラグラスの葉で飼育した場合,感染していない葉で飼育した場合と比較して生存日数が短くなった。本菌の感染植物は長年にわたって不耕起状態にあった湿った場所に多くみられた。本菌の感染株の頻度は草種によって大きく異なり,オキナワミチシバ,アキメヒシバ,スズメノコビエでの感染率が特に高かった。本菌の感染状況を詳細に観察したところ,本菌の菌糸が葉上に限られていたことから,本菌が内生菌(エンドファイト)ではなく,表生菌(エピファイト)であると考えられた。なお,本菌が感染した植物の株内では,感染した茎と感染していない茎が混在していた。
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