課題名 | 安定同位体分析を用いた農業生態系におけるCO2動態の解明とモデル化(216) |
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課題番号 | 211 |
研究機関名 |
農業環境技術研究所 |
研究分担 |
環境生物・植生生態研 |
研究期間 | 完9~11 |
年度 | 2000 |
摘要 | 作物が光合成に利用する二酸化炭素の供給源は、大気中からの取り込みと土壌から放出されるものがあるが、これまで野外レベルで二酸化炭素の動態は解明されていなかった。しかし、同位体自然存在比(δ13C値、δ15N値など)の測定法が、生態系における物質循環の解明に有効であることが報告されるようになった。そこで、本手法を用いて、農耕地群落の二酸化炭素の動態を解明した。トウモロコシ群落内のCO2の動態を、質量分析計、元素分析計、ガスクロマトグラフィーを用いて分析したところ、土壌呼吸由来のCO2は軽く、大気由来のCO2は重かった。トウモロコシの葉身中のδ13C値は地表面に近い下層において軽く、群落上層で重かった。この特性を活用して、光合成に利用するCO2の供給源を土壌空気由来と大気由来に分離し、その割合を層位別に推定した。個体当たりの葉身中の炭素量と土壌呼吸をCO2供給源とする層位別の割合とを層位別に掛合わせて加算すると、トウモロコシ群落の光合成に利用された土壌呼吸の寄与率が算出できる。この値は32%であり、土壌からのCO2の供給が作物生産に重要な役割を果たしていた。 |
カテゴリ | 管理技術 とうもろこし |