摘要 |
レタスおよびカーネーションの根圏からキングB培地を用いて分離された蛍光性シュードモナス属細菌について、各種植物病原菌に対する抗菌活性を明らかにするため、培地上での抗菌作用ならびにPCR法による抗菌物質の検索を行った。分離菌16菌株および対照株2株について、コムギ立枯病菌(GGT)など5種類の病原糸状菌ならびにトマトかいよう病菌(CMM)、トマト・ピーマン斑点細菌病菌(XCV)など3種の病原細菌に対する抗生作用を検定した結果、9菌株でGGTに対する抗菌活性が認められたが、抗菌スペクトラムは対照株に比べて小さかった。被験株の多くは、1種以上の細菌に対して抗菌的であったが、その程度は菌株によって異なった。CMMに対する活性度は対照株に比べ低かったが、XCVに対しては、対照株を上回る活性を示すものがあった。フロログルシノール(PHL)およびフェナジンカルボン酸(PCA)の抗菌物質の生合成関連遺伝子に関連する2種のプライマーを用いたPCR解析の結果、複数の菌株においてPHL増幅産物のシグナルが検出され、本物質が抗菌活性に関与しているものと推察された。今後、これら菌株について、植物根への定着能ならびに in situでの物質生産性等を解明することで、微生物農薬開発素材のための有用資源として利用できると考えられる。
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