水稲の低温ストレスによる蛋白質リン酸化反応の解析(80)

課題名 水稲の低温ストレスによる蛋白質リン酸化反応の解析(80)
課題番号 71
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 分子遺伝・遺伝修飾研
研究期間 完10~12
年度 2000
摘要 生物の低温耐性機構については生態学的な面からの研究は行われているが、その分子生理学的機構に対する研究はあまり進んでいない。本研究では、低温ストレスをシグナルとする細胞内情報伝達機構を解明することを目的に、リン酸化タンパク質等の遺伝子の単離を行い遺伝子発現調節機構を解析し、低温ストレスとタンパク質リン酸化の関係を明らかにする。このことにより、高度耐冷性品種育成の基礎的知見を得、作物の寒冷地適応性機構の解明につながる。結果は(1)細胞内情報伝達機構における上流に位置するプロテインキナーゼ類の検索を行い、葉鞘の細胞質画分に存在する37kDa、膜画分に存在する47kDaのカルシウム依存性プロテインキナーゼ(CDPK)は、低温により顕著に変動することが明らかになった。(2)イネ20品種について、低温ストレスにより葉鞘の膜画分で顕著にリン酸化能の亢進するCDPKのリン酸化能を解析し、低温ストレスにより、低温感受性品種と比較して低温耐性品種においてリン酸化能の亢進はあまり認められなかった。(3)リン酸化タンパク質であるイネカルシウム結合タンパク質(カルレテイキュリン)は低温ストレスで細胞質から膜へ移行することが明らかになった。カルレテイキュリン形質転換イネは、低温感受性イネと同様に、アブシジン酸量を増加させ、CDPK活性を亢進した。残された問題点はなく、今後育種への応用を検討する。
カテゴリ 育種 水稲 耐寒性 品種

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