課題名 |
光合成遺伝子の発現を調節する蛋白質の核輸送機構(183) |
課題番号 |
165 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所
|
研究分担 |
生理機能・光合成研
|
研究期間 |
完10~12 |
年度 |
2000 |
摘要 |
光合成遺伝子の発現は光環境に応じて転写段階で調節されており、これにより植物は光環境に適応した光合成器官を構築することができる。環境応答の中心的役割を担う遺伝子の転写は、転写酵素とその機能を調節する多数のタンパク質因子を必要とする複雑なシステムで、核内で行われる。このため、これら因子を核内に輸送させる分子機構が生物には存在する。本研究は、イネにおけるこれら転写調節因子の核輸送機構を明らかにするために企画された。まず、イネの核輸送に関わるインポーチンα遺伝子を網羅的に単離し、3種類のインポーチンα(α1a、α1b、α2)遺伝子が単離され、それらの遺伝子の全配列を明らかにした。これら遺伝子産物の組織別の発現を、ノーザンブロッティング法、定量的RT-PCR 法、ウエスタンブロッティング法で測定した。その結果、個々のインポーチンαは、全ての組織で発現しているものの、その発現パターンには特徴があった。また核移行シグナル3種(単極型、双極型、R型)との結合を解析したところ、インポーチンα1a とα1b は単極型と双極型の核移行シグナルと結合したが、R型とは結合しなかった。インポーチンα2 は単極型核移行シグナルとの結合しか観察されなかった。このように、発現パターンの面からも機能面からもインポーチンαは分業しており、それがタンパク質の核輸送の質的、量的制御に関わっていることが示唆された。
|
カテゴリ |
シカ
輸送
|