課題名 | 植物の環境ストレス耐性におけるプロトンの輸送と代謝の役割の解明(212) |
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課題番号 | 188 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所 |
研究分担 |
生理機能・(上席) 生理機能・ストレス研 |
研究期間 | 完9~12 |
年度 | 2000 |
摘要 | 植物細胞の物質輸送は細胞膜プロトンポンプが作り出すプロトンの電気化学ポテンシャル勾配を利用するプロトンとのシンポート、あるいはアンチポートによる。それ故、輸送時に外界から流入するプロトンをそれに見合った速度で排出できないストレス条件では細胞質の酸性化を免れ得ない。われわれは主としてニチニチソウ培養細胞を用い、低酸素ストレスやリン酸輸送等において見られる細胞質酸性化を阻止する機構を明らかにするため、細胞膜・液胞膜のプロトンポンプ活性化の他、解糖系や呼吸系の役割を検討した。これらの成果は、従来、細胞内pH調節機構として広く知られてきたBiochemical pH stat説(Davies, 1973)に代わる、新しいpH調節機構仮説(Sakano, 1998)としてまとめられた。特筆すべき成果は、乳酸発酵が嫌気条件下での、また、これまで生理機能が明らかでなかったシアン耐性呼吸が好気条件下でのプロトン消費機構であることが明らかになったことである。実際、リン酸吸収時に呼吸がシアン耐性呼吸に切り換わることを酸素同位体分別法により証明した。さらに、この呼吸が「酸性化シグナルを受けて活性化する過剰還元力の消費機構である」という洞察を得、これが植物における一次代謝から二次代謝への切換機構として働き、病傷害に対する防御反応に重要であるとの結論に達し、[シアン耐性] (パイオニア特別研究)で検討する。 |
カテゴリ | 輸送 |