土壌-水稲システムにおける炭素・窒素動態のモデリング(197)

課題名 土壌-水稲システムにおける炭素・窒素動態のモデリング(197)
課題番号 165
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 環境管理・情報解析研
研究期間 完10~12
年度 2000
摘要 FACE(開放系大気CO2増加)がイネの生長に及ぼす影響を水田の窒素肥沃度と関連させて検討した。(1)FACE(目標CO2濃度; ambient + 200ppm)によるイネ乾物生産と窒素吸収の増加率は生育後半に低下し、成熟期の標準窒素区3年平均でそれぞれ12%と 3%であった。その結果、各器官の窒素含有率は分けつ期を除き、FACEにより低下し、成熟期の白米タンパク含有率は9%低下した。(2)乾物の分配割合は、FACEにより茎で上昇し、葉身で低下した。また、栄養生長期における葉身窒素含有率の低下率は茎より小さかった。なお、根への乾物分配割合の変化は比較的小さく、FACEによりむしろ窒素の分配割合が高くなる傾向にあった。(3)一方、幼穗形成期以降、FACEにより穂数の増加と穂の発育促進が起こり、穂のシンク能が炭素・窒素ともに増大した。しかし、作土の無機態窒素量はFACEに関わらず、節間伸長期頃にほぼ消失し、穂の生長に必要な窒素は葉身からの再転流に大きく依存した。このため、登熟中期における緑葉の窒素含有量はFACEにより有意に低下した。(4) FACEにより、作土に付与した15Nのイネ吸収割合が上昇し、作土における残存割合はわずかに低下した。しかし、収穫残渣を圃場から搬出した条件で2年間行ったFACE実験から、見かけの土壌窒素無機化特性に有意なCO2処理間差は検出されなかった。
カテゴリ 管理技術 水田 水稲

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