課題名 | ウイルス感染による胎子組織・器官の機能的変化発現機構の解明(53) |
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課題番号 | 35 |
研究機関名 |
家畜衛生試験場 |
研究分担 |
九州・臨床ウイ研 九州・臨床病理研 |
研究期間 | 完10~12 |
年度 | 2000 |
摘要 | アイノウイルス野外分離株を用いて,妊娠牛の頸部静脈内接種および外科的手法による子宮内胎子腹腔内接種を行って先天異常の発現を試みたところ,後者で接種したすべての子牛で先天異常とこれに伴う早死産が起こり,高率に異常産が再現できることが確認された。発現された先天異常子牛について病理解剖学的および病理組織学的検索を行ったところ,アイノウイルス感染による胎子の形態学的変化は大脳,脳幹部,小脳および脊髄の形成不全と関節湾曲症であり,野外発生における先天異常子牛の特徴と一致していた。また,脳幹部の障害は妊娠末期の早死産と関連し,アカバネ病との大きな相違点と考えられた。さらに,1997年に九州地方を中心に発生したイバラキ病の病原を確定するとともに,同時期に多発した牛の死流産胎子あるいは母牛からウイルス分離を行い,血清学的な同定とRT-PCRおよびRFLP(制限断片長多型)分析を実施し,イバラキ病と死流産に関与したウイルスの遺伝学的関連を検討した。その結果,分離されたイバラキウイルスは従来の流行株とは大きく異なっていると考えられた。この分離株はマウスに対して病原性が強い傾向が認められた。また,新生子牛の大脳でも囲管性細胞浸潤とグリア結節等の軽度の非化膿性脳炎像が観察された。これらの成果は動衛研に受け渡す。 |
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