課題名 |
カイコにおける窒素代謝及び色素形成に関する遺伝子の単離(17) |
課題番号 |
12 |
研究機関名 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所
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研究分担 |
遺伝育種・遺伝工学研
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研究期間 |
完11~12 |
年度 |
2000 |
摘要 |
カイコの幼虫皮膚が半透明になる油蚕(あぶらこ)突然変異は20種類以上が知られているが、遺伝子レベルでの解析はほとんど行なわれていない。油蚕突然変異体のうち、キサンチン脱水素酵素(XDH)活性の低下が原因となっているogとoqとについて、原因遺伝子を同定し、その遺伝子のどの部分の異常が突然変異を引き起こしているかを明らかにすることを本研究の目的とした。まず、幼虫脂肪体の粗抽出液を電気泳動によって分離し、ゲル上でXDH活性を染色した。すると、正常個体には2本あるバンド(強いバンド;Aバンドと、きわめて弱いバンド;Bバンド)のうち、ogでは両方が、oqではAバンドのみが欠損していた。このことから、oqの方がXDH遺伝子そのものの異常に起因すると考え、カイコに2つ存在するXDH遺伝子(BmXDH1とBmXDH2)のoq突然変異体での塩基配列を解析した。その結果、oq突然変異体ではBmXDH1遺伝子の一部に欠失があることが明らかになった。さらに、BmXDH1タンパク質が本当にAバンドに対応するかどうかを検証するため、酵母でBmXDH1遺伝子を発現させ、そのタンパク質を解析したところ、Aバンドと一致することが明らかになった。以上の結果から、oq突然変異体ではBmXDH1遺伝子の異常によりXDH活性が欠損し、そのために油蚕になることがわかった。今後はog突然変異の原因遺伝子の探索・解析を進める。
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カテゴリ |
カイコ
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