課題名 |
エクダイソンによる中腸細胞更新機構の分子生物学的解明(63) |
課題番号 |
49 |
研究機関名 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所
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研究分担 |
生体情報・生理活性研
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研究期間 |
完10~12 |
年度 |
2000 |
摘要 |
昆虫の主要な脱皮ホルモンにはエクダイソン(E)と20-ハイドロキシエクダイソン(20E)があるが、従来は両者に作用の質的な違いはないと一般に考えられてきた。ところが、20Eが含まれた飼料を食べさせて脱皮誘導した早熟5齢幼虫に両ホルモンを投与すると、Eは速やかに中腸上皮細胞の更新を誘導するのに対し20Eは上皮細胞の細胞死を誘導するというように、両者の作用は全く異なることが明らかになった。また、Eによる中腸上皮細胞の更新誘導に、従来20Eを用いて解明されてきたエクジステロイドの主要な信号伝達経路であるエクダイソンリセプターやearly-geneは関与しない可能性が高いことがノーザンブロット法等や免疫組織化学の実験から明らかになった。これらの結果から、Eは20Eとは異なる信号伝達経路を介して特異的な作用を示すことが示唆され、このカイコ早熟5齢幼虫の中腸細胞の系を用いることにより、昆虫のステロイドホルモンの未知の信号伝達経路が解明されることが期待される。この成果の一部は既に国際誌等に発表済みであり、残りの成果についても近いうちに国際誌に投稿予定である。また、独立行政法人農業生物資源研究所の課題の中でも引き続きエクダイソンの信号伝達経路の解明を行なっていく予定である。
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カテゴリ |
カイコ
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