課題名 |
昆虫の代謝・発育制御技術の開発(72) |
課題番号 |
55 |
研究機関名 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所
|
研究分担 |
生産技術・人工飼料研
|
研究期間 |
完8~12 |
年度 |
2000 |
摘要 |
カイコのアンモニア窒素の再利用機構について検討し以下のことを明らかにした。グルタミン合成酵素(GS)/グルタミン酸合成酵素(GOGAT)の両酵素経路からなる代謝経路が機能している。GOGATを動物組織から初めて分離・精製した。本酵素は特に5齢期の後部絹糸線で著しく活性化されており、絹糸タンパク質合成のためのアミノ酸供給の役割を担うと推測される。さらに桑葉とカイコ体液から分離されたウレアーゼの諸性質は完全に一致する。ビオチンで標識したクワ葉タンパク質をカイコに摂食させると桑葉ウレアーゼに由来するタンパク質のみがカイコ体液中に特異的に出現すること等から体液中のウレアーゼは桑葉ウレアーゼに由来する。また、一部の鱗翅目幼虫消化液中に見い出される高濃度のグリシンについて検討し以下のことを明らかにした。イボタの葉は生重当たり3%のフェノール性イリドイド配糖体であるオレウロペインを含有しており、葉が破壊されるとオルガネラ局在している活性化酵素により活性化され、強力なタンパク質変性作用を示し、必須アノミ酸であるリジンを失わせる。一方、イボタを寄主とするイボタガ、サザナミスズメ、ウラゴマダラシジミ等の昆虫の消化液中にはグリシン、GABAなどの遊離アミノ酸が分泌され高濃度で存在しており、これらのアミノ酸が活性化されたオレウロペインと先に結合することによりタンパク質変性作用を中和・阻止している。
|
カテゴリ |
カイコ
桑
ごま
|