摘要 |
オオタバコガは農作物の害虫として問題になることはなかったが、1994年の大発生以来、多くの作物で被害が出るようになった。発生状況を把握するため、場内でのフェロモントラップ調査、並びに全国的なアンケート調査を実施した。また、生態特性を明らかにするため、休眠性を各地の系統で調査した。さらに有効薬剤の探索を行った。場内でのオオタバコガの誘殺数は8年度181頭が最高で、その他の年は70頭以下で、タバコガの方が多かった。オオタバコガの全国の発生状況は、8~10年度は年間平均220頭弱で大きな変化はなかったが、11年度は144頭に減少した。しかし、500頭以上の地点は8地点あり、長野のレタスなどでは多発生が続いている。オオタバコガの休眠性について、鹿児島産は20℃一定日長に置かれた場合は、短日でも休眠に入ることはないが、若齢幼虫期に13L以上の長日に10日程度置いた後、中齢以降を12L以下の短日に置くと、蛹の休眠率は高くなった。しかし、長野産では13以下の一定日長で休眠率は高くなった。つくば産は両者の中間型を示した。このことから、現在各地で発生しているオオタバコガは休眠性に関して遺伝的に異なる系統が侵入し、発生している可能性が高い。有効薬剤を明らかにし、老齢幼虫は全般に薬剤感受性が低いことを明らかにした。
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