餌生物をめぐるマダイの放流種苗と天然集団の競合関係の解明(19)

課題名 餌生物をめぐるマダイの放流種苗と天然集団の競合関係の解明(19)
課題番号 15
研究機関名 瀬戸内海区水産研究所
研究分担 海区水産業・資源研
海区水産業・培養研
研究期間 完9~12
年度 2000
摘要 餌生物をめぐるマダイの放流種苗と天然魚の競合関係を解明するために、摂餌生態、栄養生理を両集団とで比較して、種苗放流が天然魚を取りまく生物環境に与える影響を推定した。山口県沖家室島において夏季にマダイ人工種苗を腹びれ片側切除により標識放流し、マダイ稚魚を毎月採集し、マダイの胃内容物から天然及び放流魚の食性の違いをみるとともに、筋肉中の脂質含量から両集団の栄養状態を比較した。採集されたマダイ稚魚646尾のうち、60%が放流個体であった。空胃率は天然マダイ稚魚の23%に比べ、放流マダイでは36%と高かった。胃内容物調査では、放流マダイは、甲殻類の端脚類、エビ類、カニ類と多毛類、貝類を主に摂食していたが、天然魚では上記の他に甲殻類の異尾類、アミ類、魚類も主要な餌となっており、天然魚は放流魚に比べて多様な食性を有していることが分かった。放流マダイ筋肉中の中性脂質(mg/100g)は放流時の225から急減して1月後には39まで低下し、3ヶ月後には天然魚の平均77の半分以下となった。以上から、放流マダイでは種苗生産時に蓄積したエネルギーを放流後速やかに消費して、やがて天然魚と同等又はそれ以下のレベルになると推定された。マダイ放流種苗と天然魚の餌生物をめぐる競合についてさらに検討する必要がある。
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