(2)開発途上地域における技術開発方向の解明と農山漁村開発のための社会経済条件の分析

課題名 (2)開発途上地域における技術開発方向の解明と農山漁村開発のための社会経済条件の分析
課題番号 200709676
研究機関名 国際農林水産業研究センター
研究分担 国際農林水産業研究センター,国際開発領域
協力分担関係 IRRI
研究期間 2006-2010
年度 2007
摘要 「技術評価」プロジェクトでは灌漑管理、水利用調整に関して収集したデータ解析を進め、「アジア経済統合」プロジェクトでは経済統合が農業・食品産業及び貧困等に及ぼす影響を解析した。(1) 「技術評価」プロジェクト(【プロジェクト目標】 東南アジア稲作農村を対象に地域特性に応じた農民の技術ニーズ並びに普及プロセスを解明する。とくに、これまで研究蓄積が豊富で、自然環境、社会経済環境も多岐にわたるアジア稲作農村を対象として、社会経済変化に対応した農家の(潜在的・顕在的)技術ニーズを解明する。さらに、農村社会のネットワーク構造や農家同士の情報の流れに焦点をあてて技術普及のプロセスを解明する。)19 年度の主要実績:・ 灌漑管理における社会関係資本の役割を検証するため、灌漑効率(乾期水量、適時配水、公正配分)の決定要因を重回帰によって分析した。その結果、信頼感(認知的社会関係資本)と灌漑施設維持に要する資材の入手容易さは灌漑効率を向上させることが解明された。施設整備後に水利組合を組織して管理運営をまかせるのではなく、設計段階から農民参加を得ることで、信頼感や規範といった社会関係資本が形成すると共に、維持管理が容易な適正施設の整備が実現すると期待される。・ 灌漑組合での共同作業参加の有無を被説明変数とするロジスティク回帰分析を行い、稲作面積が大きく作業参加からの期待利益が大きいことは効率的な灌漑管理に資する、反対に、管理負担に対する不平等感が高ければその逆であることを明らかにした。このことから、協調行動が必要な節水技術の導入は地域全体の厚生水準を向上させるが、下流農民に参加メリットを明示して不平等感を払拭すると共に上流農民に節水インセンティブを与える制度設計が必要であると言える。(2) 「アジア経済統合」プロジェクト(【プロジェクト目標】 東アジア諸国の経済統合の進展が同地域の農業、特に農業多様化、高付加価値化、生産・流通の連携による農家収入源や雇用機会の多角化に与える影響を明らかにし、経済統合による市場機会を農村の貧困解消に活用すると共に、経済統合の悪影響を回避するために必要な政策を解明し提言する。)19 年度の主要実績:・ 資本の国際移動が農業に及ぼす影響を分析するため、インドネシア・ランプン州におけるキャッサバ生産のケースを分析し、日系企業の進出は、農家との契約栽培を通じて農家所得の向上と安定に寄与することを解明した。このケースでは企業による無利子融資や技術サービスが提供されている。他にもアルコール企業と農家の関係において類似のケースが見られる。・ 貿易自由化が貧困に及ぼす影響を解明するため、中国-ベトナム国境貿易を調査した。その結果、双方向の貿易が増加傾向にあるものの、大部分の物流にとっては国境地域が通過点でしかなく、貿易拡大による地元の利益は限定的であることが解明された。また、温帯野菜の主産地である北部タイでは中国とのFTA により農家の所得水準が低下傾向にあることを明らかにした。
カテゴリ 高付加価値

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