(1)農業環境中における有害化学物質のリスク評価手法及びリスク管理技術の開発

課題名 (1)農業環境中における有害化学物質のリスク評価手法及びリスク管理技術の開発
課題番号 200709650
研究機関名 農業環境技術研究所
研究分担 農業環境技術研究所,有機化学物質研究領域
協力分担関係 富山県農技セ
研究期間 2006-2010
年度 2007
摘要 有機化学物質については以下の具体的成果が得られた。その結果、中期計画で目標としている技術開発(農薬等の環境中挙動予測モデル、水生節足動物を用いた環境リスク評価手法等)について順調に進捗した。3件の普及に移しうる成果が得られ、低濃度エタノールによる土壌消毒法は2007年農林水産研究成果10大トピックスに選定されている。1) 有機汚染物質の地球規模での汚染拡散が評価できるマルチメディアモデルを開発し、日本で過去に投入された農薬が北極域にまで到達することを示した。このモデルは、現在使用中あるいは今後開発予定の農薬の広域移動の推定・予測を可能とし、地球規模での汚染拡散の防止へ貢献する。2) 河川生態系での農薬の生態影響評価に活用できる、「コガタシマトビケラ1齢幼虫を用いた農薬の急性毒性試験法マニュアル」を作成した。本マニュアルは、自治体・メーカー等が農薬の生態影響評価に活用することが期待され、環境に配慮した農薬の適正使用及び開発に貢献する。3) 有害化学物質であるヘキサクロロベンゼン(HCB)を資化できる新種分解菌の代謝経路を解明し、室内試験において分解菌集積炭化素材により土壌中のHCB及び代謝産物のPCPを4週間で30%以上分解させた。4) ドリン系農薬汚染土壌を用いたポット試験において、ズッキーニの連作により跡地土壌で栽培したキュウリ果実中のドリン濃度を30~50%低減させた。これにより、現地実証試験に着手できる段階となったことは、実用化に向けた大きな前進である。5) 界面活性剤と活性炭シートの組合せによる化学的洗浄技術を構築し、小規模モデル実験において土壌中のダイオキシン類を30%回収除去した。6) 低濃度エタノールによる土壌消毒法(2007年農林水産研究成果10大トピックスに選定)は環境への負荷が小さく、簡便さと安全性から臭化メチルの代替技術として実用化が期待されている。カドミウム等の無機化学物質については以下の具体的成果が得られた。その結果、中期計画のカドミウム汚染土壌を化学洗浄・バイオレメディエーション等の手法で修復する技術や、カドミウム低吸収性品種の利用技術について、核となる主要な技術が開発された。接ぎ木栽培によるナス果実中のカドミウム濃度低減技術は、普及に移しうる成果として実用化が期待されている。1) 従来の標準法に比べ、ダイズ子実・玄米のカドミウム濃度と相関の高い土壌カドミウム抽出法(メーリッヒ3抽出)が見いだされ、湛水条件下で増加する土壌中有機ヒ素の玄米への移行は少ないことを明らかにした。これにより、今後、土壌分析による農作物のカドミウム汚染リスク評価法の開発につながると期待できる。2) カドミウム汚染土壌の化学洗浄法による修復技術開発では、洗浄処理による玄米カドミウム濃度低減の効果は処理後4年目も維持された(4年目となる平成19年度の玄米カドミウム濃度は、対照区と比べ60%減少した)。また、洗浄中に可溶化するカドミウムは地下水へ浸透しないことを明らかにした。さらに、カドミウム汚染土壌のファイトレメディエーションにより、玄米カドミウム濃度を約40~60%減少させることができた。これらにより、カドミウム汚染土壌の修復技術の有効性・持続性を示した。3) 低吸収性品種の開発では、スズメノナスビ台木を用いた接ぎ木栽培が土壌、作型、穂木品種によらずナス果実カドミウム濃度を1/2~1/4に抑制するという全国的に適応可能な技術を開発した。今後、さらに適用範囲の検討や、本技術とアルカリ資材の低減効果との併用などの研究を行い、土壌のカドミウム濃度などに応じた技術マニュアル化を進めることで実用化が期待される。
カテゴリ 病害虫 管理技術 きゅうり ズッキーニ 台木 大豆 接ぎ木 土壌消毒 なす 農薬 評価法 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる