摘要 |
1.7隊の植物遺伝資源国内探索調査、1件の海外探索調査、4課題の海外共同調査を実施した。微生物は、3隊の国内探索、2件の海外探索調査を実施した。インドのタミール・ナドゥ農業大学と3ヶ年の共同調査研究のMOUを締結した。2.サブバンクの協力のもと、植物遺伝資源の1~3次特性、合計17万4千点の特性評価を実施し、公募による13課題を委託で実施した。アジアで栽培化されたVigna属4種と近縁野生種、計23分類群の多様性解析を進め、アズキに続きツルアズキの連鎖地図(図1)を完成し、栽培化に関与した遺伝子座のQTL解析を行った。アズキのSSRマーカー情報と連鎖地図情報は、ジーンバンクのホームページで公開した。微生物遺伝資源では計8,186点の特性評価を実施し、公募による1課題の委託課題を実施した。植物病原性フザリウム属菌(図2)、アグロバクテリウム属菌等の分子分類学的解析を進めた。動物遺伝資源に関しては計1,225点の特性調査を実施した。とくにカイコ遺伝資源の特性評価が順調に進み、繭色の波長スキャン調査や繭糸断面画像も得ることができ、配付可能(アクティブ)な遺伝資源が増加した。3.育種素材化において、公募による13課題を委託で実施した。コア・コレクションの整備のため、日本産カンキツ、Aゲノム野生イネ、ツルアズキ、ソルガム栽培種の4課題を実施した。4.平成19年度の遺伝資源の保存点数は、植物243,463点、微生物24,982点、動物が953点となった。クワ冬芽200点を超低温保存するとともに、イグサ42系統を供試し、培養茎頂を同一手法(ガラス化法)によって超低温保存できること(平均生存率63%)を実証した。 5.遺伝資源管理のためのプログラムの開発・改良を進めてきめ細かい管理を図り、とくに、植物防疫法などの各種規制に対応して管理するためのスキーマを開発した。また、遺伝資源の情報をユーザである研究者が使いやすくするため、植物収集地点検索システムを開発・公開した。
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