(2)イネの光環境応答の解明と利用技術の開発

課題名 (2)イネの光環境応答の解明と利用技術の開発
課題番号 200709633
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 光環境応答研究U,(植物)
研究期間 2006-2010
年度 2007
摘要 1.イネを高CO2濃度で育てると生長後期に光合成能が低下するが、その時期の遺伝子発現パターンを網羅的に調べるとカルビン回路のRuBP再生系、デンプン合成系、アミノ酸合成系に関与する酵素遺伝子の発現が誘導されることが確認された。2.イネ属植物全体としては、光合成速度と葉内へのCO2取り込みの指標である気孔拡散伝導度との間には、正の相関があることが明らかとなった。3.イネ科C3植物の維管束鞘細胞は、かなりの量の葉緑体やミトコンドリアを含んでおり、予想以上に光合成・光呼吸活性を保有していることが分かった。 4.コシヒカリの第5染色体の一部にカサラスの染色体断片が導入されたS1系統では、登熟後もデンプンが第1節間に蓄積して茎の強度が増すために耐倒伏性が向上すると推測された。5.カサラスに由来しコシヒカリの千粒重を高めるQTL(tgw6)の原因遺伝子を一つに絞り込んだ。6.イネゲノムに2コピー存在する青色光受容体フォトトロピン1遺伝子(PHOT1a, PHOT1b)の二重変異体を単離・解析して、フォトトロピン1が幼葉鞘の光屈性に関与していることを証明した。 7.イネのphyB変異体を用いた解析によって、phyBからの光シグナルがMgキラターゼ遺伝子などの発現制御を介してクロロフィル合成を制御している可能性が示された。8.イネのphyCは、phyBと複合体を形成して機能を発現することを証明した。9.転写因子OsGLK1を過剰発現させて緑化したカルスは、光合成能を有する葉緑体を持ち独立栄養的に増殖できることを明らかにした。10.光照射後短時間で発現が誘導される遺伝子として同定したFR29遺伝子は、ジャスモン酸シグナル伝達系で中心的な役割を果たしている因子と推定された。FR29遺伝子を過剰発現させたイネは稈・根の伸長促進や種子胚乳の肥大を示し、それは細胞分裂の促進に起因していることを証明した。11.OsGIは、概日時計因子であると同時にHd1を介さずにHd3aに作用して開花を促進する機能も持つことを明らかにした。12.シロイヌナズナの概日時計因子、CK2αのオーソログと考えられるHd6がイネの概日時計の機能に関与しないのは、シロイヌナズナでは概日時計を構成するCCA1の活性がCK2αによるリン酸化によって制御されているのに対して、イネではCCA1のオーソログOsLHYがアミノ酸置換によってリン酸化されなくなっているためであることを明らかにした。
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