おとり椊物を用いたジャガイモ粉状そうか病菌の土壌汚染程度評価法

タイトル おとり椊物を用いたジャガイモ粉状そうか病菌の土壌汚染程度評価法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 中山尊登
島貫忠幸 
発行年度 2003
要約 土壌を懸濁した水耕培養液中でおとり椊物(トマト)を栽培し、その根部に感染した粉状そ うか病菌量(感染ポテンシャル)を PCR 法で定量することによって、土壌の粉状そうか病菌による汚 染程度が評価できる。
キーワード ジャガイモ粉状そうか病、おとり椊物、PCR 法、感染ポテンシャル、土壌汚染程度評価 法
背景・ねらい ジャガイモ粉状そうか病による被害を回避するためには、同菌による土壌の汚染程度を把握するこ とが上可欠である。しかし本菌は絶対寄生菌であることから、菌の培養を伴う希釈平板法等の方法で は土壌中の菌量を定量することは上可能で、また胞子球に対する ELISA 法も開発されているが検出感 度等の面で実用には難点がある。そこでトマトをおとり椊物として、供試土壌を懸濁した水耕培養液 で栽培し、根部に感染した菌量を PCR 法で定量することにより、本菌による土壌汚染程度を評価する 方法を開発する。
成果の内容・特徴 1. 土壌汚染程度評価法の概要を図 1 に示す。土壌試料は風乾後、水耕培養液に懸濁し、おとり椊物
(トマト)根部浸漬前に 1 週間程度前培養する。このことにより粉状そうか病菌のトマト根部への
感染効率が高まる。 2. トマト根部に感染した粉状そうか病菌量(感染ポテンシャル)を定量するために、あらかじめ一定
量の胞子球を抽出して得た DNA をテンプレートとして定量 PCR を行い、検量線を作成する(図 2)。 この検量線を利用して感染菌量を新鮮根 1g あたり胞子球当量数(spore ball equivalent unit;
sbu)として算出し、これを土壌の感染ポテンシャルとする。 3. 今金町ならびに八雲町内の 18 圃場より採取した土壌試料について感染ポテンシャル、胞子球密度
(Bell ら(1999)に準じて PCR 法で定量)を調べ、また同一圃場での堀取りによるいも(品種:男爵 薯)の発病度を調査したところ、土壌の感染ポテンシャルが高い圃場ではいもの発病度も高い傾向 が認められる(表 1)。
4. PCR 法で土壌試料からの胞子球の検出が困難な場合でも、本方法では感染ポテンシャルを検出する ことが可能であり(表 1、圃場 3、6、7)、土壌中の胞子球密度と比較して、感染ポテンシャルは圃 場における発病度とより相関が高い。
5. 本方法を用いると、土壌試料の前培養開始から9日程度で感染ポテンシャルが判明し、粉状そうか 病菌による土壌の汚染程度を評価することができる。
成果の活用面・留意点 1. 発病度の低い圃場の試料の場合、感染ポテンシャルが検出できない場合がある(表 1、圃場 8)。 2. 男爵薯以外の品種に対しては感染ポテンシャルと発病度の関係が男爵薯に対する場合と異なるの
で、その場合両者の関係を別途検討する必要がある。
カテゴリ トマト ばれいしょ 評価法 品種

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