ジャガイモシストセンチュウ対策のための抵抗性品種の利用指針

タイトル ジャガイモシストセンチュウ対策のための抵抗性品種の利用指針
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 1999~2003
研究担当者 串田篤彦
植原健人
百田洋二
発行年度 2003
要約 抵抗性馬鈴しょ品種を1作することにより、土壌中のジャガイモシストセンチュウ密度 は平均 80 ~ 90 %減少する。しかし、植え付け時の線虫密度が 10 卵/ g 乾土以上で減収する品 種がある。畑の線虫密度に応じて抵抗性品種を選択すれば、減収を来さずに効率的な線虫防除を 図ることができる。
キーワード ジャガイモシストセンチュウ、密度低減、抵抗性品種、減収、利用指針
背景・ねらい ジャガイモシストセンチュウ抵抗性馬鈴しょ品種には、線虫密度を低減化させる作用があり、 その程度は約 70 %であるとされてきた。また、線虫抵抗性品種は、線虫密度が高い場合には減 収を来すことが知られている。近年、線虫抵抗性を持った品種が増え、普及が進みつつある。そ こで、これら抵抗性品種について、線虫防除への積極活用を促進するため、品種毎の線虫密度低 減効果を詳細に調査し、期待できる線虫密度低減程度を把握するとともに、線虫畑での収量特性 を把握し、減収を来さない線虫密度レベルを推定し、利用指針を作成する。
成果の内容・特徴 1.線虫抵抗性品種を1作すると、土壌中のジャガイモシストセンチュウ密度は平均 80 ~ 90 %減少する(図1)。
2.各品種の密度低減効果は、利用する地域や年次が異なっても同程度が期待できる。また、線虫密度の高低に関わらず、同程度の効果が期待できる(図2-A)。
3.線虫密度が高密度以上の場合は、低減効果が劣る品種がある。現在の主要奨励品種では、「スタークイーン」のみである(図2-B)。(0 <低密度< 10 ≦中密度< 100 ≦高密度< 300 卵/ g 乾土≦甚密度)
4.線虫畑における各抵抗性品種の収量性は品種によって異なるが、その収量パターンにより大きく3つに分けられる。それぞれの収量の特徴及び該当品種は、以下の通りである。 1)線虫密度の高低によらず、減収しない(図3-A 「花標津」「ベニアカリ」)。 2)線虫密度が中または高密度(表1)で減収し、密度の増加と共に減収程度も大きくなる (図3-B 「十勝こがね」「スタークイーン」)。 3)線虫密度が中または高密度で、総収量に占める 3L サイズの収量の割合が著しく増加する (図3-C 「キタアカリ」「トウヤ」「さやか」「アトランチック」「アーリースターチ」)。
5.株あたりの形成いも数は、線虫密度の増加と共に減少する。また、でんぷん価は、線虫畑に おいてもほとんど変わらない。
6.植え付け時線虫密度と収量との関係から、減収を 20 %以下に抑えられる線虫密度レベルは、 表1のように整理でき、利用指針とする。この利用指針に基づけば、減収を来すことなく抵抗 性品種を栽培でき、効果的な線虫密度低減が可能である。
成果の活用面・留意点 1.抵抗性品種を用いてジャガイモシストセンチュウの密度低減を図る際の指針とする。
2.植え付け時線虫密度が甚密度の場合は、生育の阻害や遅延の程度が大きいので、減収の有無に関わらず、馬鈴しょの栽培は避けることが望ましい。
3.植え付け時線虫密度が高密度以上の場合は、馬鈴しょの生育は遅延する傾向があるため、疫病の発生に留意する必要がある。
カテゴリ 病害虫 抵抗性 抵抗性品種 ばれいしょ 品種 防除

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