水分ストレス下の根の形態・機能の変動解明によるマメ科植物の耐旱性評価

タイトル 水分ストレス下の根の形態・機能の変動解明によるマメ科植物の耐旱性評価
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1993~1994
研究担当者 花田俊堆
吉田泰二
作物開発部
白土宏之
松井重雄
畑地利用部
掘 兼明
発行年度 1994
要約 水分ストレス下の根の形態・機能の変動解明により、植物の耐旱性を明らかにする。土壌水分制御、萎凋過程の根系観察、培地の浸透圧上昇の3種の手法を用い、マメ科植物の耐旱性を比較したところ、同一の判定結果を得て、耐旱性評価に有効である。
背景・ねらい  培地の水分ストレスにともなう根の形態・機能の変動を解明し、植物の耐旱性を評価する技術を開発する。そのため、土壌水分制御、萎凋過程の根系観察、培地の浸透圧上昇の3つの手法を用いて、マメ科植物(クロタラリア、キマメ、ダイズ)の耐旱性の種間差を比較検討した。
成果の内容・特徴
  1. 土壌水分制御による耐旱性評価:土壌水分・温度制御装置を用い、地温30℃の条件で土壌水分を-0.003~-0.04MPaに設定した。クロタラリア及びダイズは低水分区ほど根重、主根長及び分枝根数が劣る。これに対して、キマメは-0.04MPaまでの低水分条件では、ほとんど 生育低下が認められない(表1)。
  2. 萎凋過程の根系観察による耐旱性評価:根箱に土壌を充填し、播種時のみ給水し、萎凋過程の蒸散量の変化と根の形態観察を行った。ダイズの蒸散量は14日目以降著しく低下するが、クロタラリア、キマメの蒸散量は高い値を維持する(図1)。蒸散量の低下と並行して、ダイズの根の伸長は抑制されるが、クロタラリア、キマメの根は乾燥が進んでも伸長を続け、2次根まで発生する(表2)。
  3. 培地の浸透圧上昇による耐旱性評価:水耕幼植物をPEG(ポリエチレングリコール)添加培地に移植して水ストレスを与えた。水ストレスによる乾物重低下は、ダイズとクロタラリアが大きく、キマメは小さい。対照区を100としたPEG区の蒸散速度割合は、クロタラリアが11、ダイズが24、キマメが22である。PEG処理による葉、根の水ポテンシャルの低下度合はダイズが最も小さく、クロタラリアが次ぎ、キマメが大きい(表3)。
  4. このように、3種の異なる評価法を用いたマメ科植物の耐旱性の判定結果は、キマメ>クロタラリア>ダイズの順で、ほぼ同一の結論に達した。したがって、これらの手法は耐旱性評価に極めて有効である。

成果の活用面・留意点  培地の水分ストレス設定にあたっては、中程度までの乾燥条件には土壌水分・温度制御装置が、著しい低水分条件にはPEG法が適している。また非破壊的な根の伸長観察には根箱法が適している。
図表1 210108-1.jpg
図表2 210108-2.jpg
図表3 210108-3.jpg
図表4 210108-4.jpg
カテゴリ 乾燥 大豆 播種 評価法

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