フロートマット式湛液水耕装置

タイトル フロートマット式湛液水耕装置
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者 花田俊雄
西村仁一
発行年度 1994
要約 フロートマット(培養液に浸して根を支持する浮きマット)による湛液水耕装置を開発した。設置費用は10a当たり150万円と低コストで、圃場で容易に組立てられ、ホウレンソウの安定生産が可能である。
背景・ねらい  近年わが国では、農家の高齢化、後継者不足が深刻な問題になっており、軽作業・省力的な野菜生産技術が求められている。水耕栽培はそのための一つのアプローチであるが、装置の導入費用や付帯設備等で容易に取り組み難い。そこで、電気や水のない圃場条件にも対応可能な低コスト水耕装置の開発を行なう。
成果の内容・特徴
  1. 各種湛液水耕方式でホウレンソウを栽培した(図1)。培養液に吸水マットあるいはロックウールマットを浮かせ、表面は培養液に一部浸った状態にすると、根に培養液と空気を適度に供給でき、生育が優れ、根の活性も高い(表1)。
  2. 実用規模の水耕装置(182×45×23cm)を設計した。側面と底面は高密度エスレンフォーム板、上部の定植パネルは発泡スチロール板で作る。定植パネルの植え穴は48個、端に培養液の注入・排出用の塩ビ管を設置する。栽培槽に培養液150リットルを入れ、フロートマット(3mm厚の発泡スチロール板(36×162cm)に1cm厚のロックウールを敷いて凹凸をつけ、全体を防根シートで覆ったもの)を浮かせる(図2)。
    装置の費用は1セット3,400円、圃場に1.2m間隔で配置するとして、10a当たり150万円程度の経費となる。これまでのNFT、ロックウール耕の設置費用の約半額である。
  3. ホウレンソウはウレタン育苗が困難である。そこで、吸水資材のレーヨン不織布(長さ10cm)をポリエチレン製中空円筒(φ18mm、長さ3cm)に固定した円筒チップで育苗する。これを培養液に浸し、播種後、根の伸長した株を定植パネルの植え穴に移植する。
  4. 露地トンネル内に水耕装置を設置し、異なる濃度の培養液で夏と冬にホウレンソウを栽培した。培養液濃度1~2単位の収量が多く、液温は夏期は26℃、冬期は5℃前後となるが、夏は25日で100g、冬は2ヶ月余りで40gの葉重に達する(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 定植後は培養液を追加せず、完全な使い切りが目標である。 48株で150リットルの培養液は、夏はやや、冬はかなり余る。栽培時期で培養液量を調節する必要がある。
  2. フロートマット、円筒チップは繰り返し使用可能である。
図表1 210118-1.jpg
図表2 210118-2.jpg
図表3 210118-3.jpg
図表4 210118-4.jpg
カテゴリ 育苗 栽培技術 水耕栽培 低コスト 播種 ほうれんそう

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