ナタネ未熟花粉への遺伝子導入と形質転換体の作出

タイトル ナタネ未熟花粉への遺伝子導入と形質転換体の作出
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1994~1996
研究担当者 福岡浩之
小川泰一
松岡 誠
大川安信
矢野 博
発行年度 1996
要約 ナタネ単離未熟花粉にパーティクルガンにより外来遺伝子を導入し、半数性の形質転換体を作出した。コルヒチン処理によって得られた倍加半数体は正常な稔性を持ち、次世代において導入遺伝子は遺伝的に固定していた。
背景・ねらい ナタネ未熟花粉培養系は単細胞由来の不定胚がカルスを経由せずに効率的に誘導され、染色体の倍加により迅速に純系が得られる特徴がある。本研究では半数性培養系を形質転換系に適用することにより、導入形質の効率的固定とキメラを回避した遺伝的安定性の高い形質転換法の確立を目的とした。
成果の内容・特徴
  1. ナタネ(品種Lisandra)の単離未熟花粉にパーティクルガンを用いて外来遺伝子を導入した。導入時の物理的条件を検討した結果、ヘリウム圧1,100psi、粒子飛程6cm、金粒子量150μg(直径1μm)が最適であった。
  2. 単離花粉は液体培地中で24時間の前培養の後、0.4%アガロースを含む NLN培地上に1×105個を直径3cmの範囲に置床し、遺伝子導入後そのまま培養する方法が有効であった。
  3. マーカー遺伝子としてナピンプロモータに先導されるルシフェラーゼ遺伝子を用い、誘導された不定胚に終濃度80μMのルシフェリンを与えたところ、高感度CCDカメラを用いた発光検出装置で形質転換胚を非破壊的かつ明瞭に選抜可能であった(図1)。形質転換効率は単離花粉1~2×106 個あたりおよそ1個の割合であった(表1)。
  4. 選抜した不定胚はコルヒチン処理によって倍加することにより正常な植物体に生育し、自殖種子が得られた(図2)。サザン分析により導入遺伝子がゲノムへ組み込まれていることが確認できた(図3)。また、自殖種子(遺伝子導入第2世代)より摘出した胚では、供試した60個全てにルシフェラーゼの強い活性が認められ、倍加半数体の特質である導入遺伝子の迅速な固定が確認された。
成果の活用面・留意点 単離花粉を用いたナタネの半数性形質転換法および簡便な形質転換体の選抜法が確立された。育種に適用するためには、特殊な機器を用いない方法の開発と形質転換率の向上が今後の課題である。
図表1 210154-1.jpg
図表2 210154-2.jpg
図表3 210154-3.jpg
図表4 210154-4.jpg
カテゴリ 育種 なたね 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる