水稲の無粉衣湛水及び潤土土中散播直播の適用範囲

タイトル 水稲の無粉衣湛水及び潤土土中散播直播の適用範囲
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1996~1997
研究担当者 山内稔
発行年度 1996
要約 温暖地西部では、カルパー無粉衣潤土土中散播は6月播種に、また、無粉衣湛水土中散播は4~6月播種に適している。無粉衣潤土土中散播は細粒灰色低地土の水田に適している。苗立ち率は、粉衣種子に比べて低下するため、播種量を増やす。
背景・ねらい  湛水及び潤土土中播種においては苗立ちの安定化のために催芽種子を酸素供給剤カルパーで被覆(粉衣)しているが、最近、粉衣しなくても湛水及び潤土土中播種で良好な苗立ちが得られることが報告されている。酸素供給剤の使用は資材費を高め、粉衣作業を必要とし、播種機の効率を低下させる。そこで、粉衣と無粉衣土中播種における苗立ちの違いを土壌型、水管理及び播種時期の面から解明し、無粉衣土中播種の適用範囲を明らかにする。ここでは、大区画のみでなく中山間の小区画水田でも実施できる省力・省資材型播種技術を開発するために、代かき直後の水田に催芽種子を散播し、種子を土中に播く無粉衣土中散播播種を対象とする。
成果の内容・特徴
  1. 日本国内各地で、粉衣種子と無粉衣種子を使って試験された過去のデータを解析したところ、ポット試験では粉衣の効果は顕著に現れているが、圃場試験では、粉衣による苗立ちの改善効果は平均16%にすぎないことが判明した(図1)。このことは粉衣の効果が、条件により異なり過大評価されていること及び無粉衣土中播種においては、播種量を上げることにより粉衣に相当する効果が期待できることを示唆している。
  2. 潤土土中散播播種では、4月と5月の播種において、無粉衣により苗立ち率は有意に低下したが、6月播種では低下しなかった(図2)。湛水土中散播播種では、粉衣の方が無粉衣の種子よりも苗立ち率がやや高かったが、有意な差ではなかった。
  3. 各種の土壌型を持つ水田ライシメーターで、粉衣種子と無粉衣種子の潤土土中散播での苗立ちを比較したところ、細粒灰色低地土で安定した高い苗立ち率が得られた(図3)。無粉衣による苗立ち率の低下は平均14%であり、収量の低下は3%であった。
成果の活用面・留意点  細粒灰色低地土は、近畿中国地域で広域に分布しており、無粉衣土中散播の適用範囲は広い。無粉衣による苗立ちの低下には播種量の増加で対応する。
図表1 210220-1.jpg
図表2 210220-2.jpg
図表3 210220-3.jpg
カテゴリ 肥料 水田 水稲 中山間地域 播種 水管理

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